新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が解除されて、休業をしていた飲食店にも灯りが灯るようになった。休業中の損失を取り戻そうと営業に励むと同時に、頼みの綱となるのが国や自治体による助成金。飲食店と関係が深い助成金のひとつに、各自治体による「感染拡大防止」のための協力金および支援金がある。東京都を例に取ると1店舗につき50万円、2店舗以上だと100万円。少なくない額である。この助成金の支給に際して混乱が生まれているという。外食産業支援ウェブの編集者に話を聞いた。
「問い合わせや、耳にするのが多いのは、2つのタイプの事例ですね。ひとつは『休業をしたということの証明を提出できない』というもの。休業中に店頭に貼っていた張り紙の写真などでもよいのですが、休業中に撮っておかなかったという方もいます。迂闊と言ってしまえばそれまでですが、自治体のホームぺージなどで確認できない年配の経営者の方には何人かいらっしゃいます。こういう問い合わせには、その他の方法で休業要請に応じた証明ができないかなどと相談に乗っています」
そしてふたつ目は、そもそもが「支給対象外」だったというケース。各自治体によって異なるが、東京都の場合だと、居酒屋を含む飲食店や喫茶店などに対しては、午前5時から午後8時(酒類提供は夜7時)までの営業時間短縮などが要請されていた。その点が大きな誤解を招く要因となったという。
「例えばふだん午後9時まで営業していた店は、午後8時閉店にしても終日閉店したとしても助成の対象となります。『店を開けていてもお客さんは来ないので終日閉店にしよう』としたお店も少なくありません。問題は、もともと営業時間が午前5時から午後8時なのに、休業要請対象だと勘違いして終日閉店としてしまったお店です。つまり、もともとの営業時間が『昼だけの営業』など、自治体が要請した範囲内であれば、支給対象外ということ。コールセンターに電話してもなかなかつながらなかったこともあって、『休み損じゃないか!どうしてくれる』と怒りをあらわにするようなケースは意外と多いんです。確かに『休業要請』という言葉ばかりが先行した感があり、ある意味、自粛ムードに流されてしまった感じです。要請協力店として自治体のサイトに店名が載りながらも、いざ申請すると不支給となったというお店もあるようです。不支給となった理由を説明せずに、定型文で『支給できない旨の決定をしました』と記す、いかにもお役所的な審査結果通知も神経を逆撫でしているようです。もっともこれは東京都の『第1回』の協力金のケース。自治体によっては、こうした飲食店への救済策を打ち出しているところもあるので、役所の窓口などで確認すべきです」(前出・ウェブ編集者)
国や自治体のコロナ対策。救われたと感じるか、はたまた騙されたと感じるか…。コロナ禍を終息させたい気持ちは同じであっても、支給される助成金の額には大きな差が生じてしまったようだ。
(オフィスキング)