「不信しかない」”時短拒否”外食大手の猛反撃で東京都のメンツ丸潰れ!

「ありえない愚策」「不信しかありません」

 ビジネス上の書面ではこんな言葉が出てくるのをあまり目にすることはないのだが、これ、東京都と東証2部上場企業とのやり取りにおいて出た文言だ。

「カフェ ラ・ボエム」や「モンスーン カフェ」などの有名飲食店43店舗を運営するグローバルダイニングは、東京都が求める休業要請に応じていなかったため、都は3月5日付け書面で「弁明」を求めていた。それに対し、同社は11日付け文章で弁明を行ってその内容を公開したのだが、その中で「不信しかない」「ありえない愚策だと思います」と逆襲に転じたことで話題になったのだ。

「弁明書では、コロナについての同社の考えが簡単に綴られた上で、国や東京都の『コロナ対策』と『要請(の在り方)と経済対策』についての疑問で持論を展開。さらには『法律違反では』との逆質問まで投げかける始末で都の面目丸つぶれな内容になっています」(経済ジャーナリスト)

 そして、その疑問さえ解消されていたら「当社も要請に応じていた可能性が高い」とまで言うのだから、都が明確な回答をしないことには周囲も納得しないだろう。

 マスコミが国や都のコロナ対策について、いくら「飲食店狙い撃ち」「オリンピックの実現したさ」と批判を行っても、国民は「確かにそんなところだろう」と諦めて済ませてしまうもの。だが、同社の場合は”当事者”だから違う。「それらの噂が現実味を増してまいります」と、徹底追及の構えなのだ。

 おそらくは、政治や行政の怠慢で自粛を強いられることへの不満がそうさせているのだろう。同社に関しては眉を顰めるような声はネットであっても、「自粛警察」や「マスク警察」のような執拗な批判はあまり見られず、むしろ好意的な意見がうかがえる。

 というのも、同社が反旗を掲げたのは今回が初めではないからだ。2度目の緊急事態宣言が発令された翌日の1月8日、同社は長谷川耕造社長のメッセージをHPに掲載して「要請には応じず」との“宣言”をしていた。この時は都の給付金は中小企業までに限られていたので、サイゼリアの堀埜一成社長も「ふざけんなよ」と怒りを露わにした。そしてグローバルダイニングは今回もドン・キホーテ的戦いを続けた。そうした“反抗の論理”に共感する人がいるのだろう。

「同社では2月のラ・ボエムの売上高が前年比約150%、会社全店でも110%と伸びていて、少なくとも数字の結果ではその姿勢が世の中の需要に見合った形になっています。弁明書では時間短縮をせずに営業を続けることは客との約束で、要請の中身に疑問があるから今後も要請には応じないとしているので、さらに需要が集中するかもしれません」(前出・ジャーナリスト)

 宣言解除の判断と時期が取りざたされる毎日、もうその場しのぎの政治判断は限界に来ている。

(猫間滋)

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