MLB本塁打王争いに急浮上してきた「元巨人選手」とは?

 テキサスレンジャーズには、有原航平投手よりも有名な「元NPB選手」がいた。アドリス・ガルシア外野手だ。

 マイナーリーグで開幕を迎えたが、4月13日に昇格し、その後「13・1打席で1本」という驚異的なペースでホームランキング争いに加わってきた(5月8日時点)。

「2019年オフ、カージナルスからトレードでレンジャーズ入りしました。昨年オフ、メジャー契約の40人枠から外され、他球団と交渉できるウェーバー公示もされたんですが、獲得する球団が現れず、レンジャーズとマイナー契約を結び直したんです。急成長の大化けした選手ですか、16年シーズンは『トーキョージャイアンツに在籍していた』と紹介されています」(米国人ライター)

 ガルシア? 同年の市販された選手名鑑には掲載されていない。しかし、NPB公式HPで確かめてみると、一軍で4試合7打席に立っており、3三振。打率ゼロの記録が残っていた。さらに当時の報道を追ってみると、<キューバの国内リーグで活躍し、4月に巨人入り。8月に契約解除>とあった。

 巨人に在籍していたのは間違いなかったが、5ヶ月程度のこと。4月13日のメジャー昇格後、有原にも挨拶し、自己紹介で“元巨人選手”であることを伝えたそうだが、分からなかったのではないだろうか。

「巨人退団後、アメリカに亡命しています。レンジャーズは若手育成に切り換えており、昨季も僅かですが、メジャーの舞台に上がっています。今季ブレイクしたのは、力任せにバットを振り回すのを辞め、右方向にも打てるようになったからです」(同前)

 右方向へのコンパクトスイングと聞くと、巨人時代に学んだことも活かされているのではないかと思うのだが、現地メディアによると、「昨年オフに契約したコーディネーターの指導が功を奏した」という。しかし、日本の野球技術の高さ、環境の素晴らしさは今も認めているそうだ。

「28歳でブレイクした遅咲きの選手です。マイナー契約ながら、なんとか生き残れたのは、肩の強さなど身体能力が高かったからです」(現地関係者)

 打球速度が速く、MLB全体でも期待されている選手の一人である。

 ブレイクした今日、「元G選手」の経歴も紹介されたのは名誉なことだが、巨人関係者も、ここまでに大化けするとは思っていなかったのでは? 「引き止めておけば良かった」というのがホンネかも…。

(スポーツライター・飯山満)

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