”背信投球”の連続でマエケンに現地でも「変わらなきゃ」の声

 日本時間4月28日の先発登板は、ツインズ・前田健太にとって、重要な一戦だった。しかし、6回途中5失点と、前回21日の登板同様、2度目の背信投球となってしまった。3イニングで3被弾、7失点と振るわなかった前回登板をさして、こんな指摘もされている。

「4月中旬、チーム内で新型コロナウイルスに感染した者が出ました21日の登板は3日もスライドされたものであり、それが不甲斐ないピッチングにつながったのでは」(在米ライター)

 とはいえ、前田にはドジャース時代からこんな評価もされていた。「全て平均値」。球速、変化球の種類、そのキレ具合、制球力、そつなくこなす投手ではあるが、目立った特徴がないというものだ。

「昨季、ア・リーグのサイ・ヤング賞投票の次点という素晴らしい結果を残しました。『平均値』の前田が活躍できたのは、スライダーとチェンジアップを投げる比率を変えたから。昨季、ノーヒットノーラン寸前までいった8月18日は、スライダーとチェンジアップだけで全投球の80パーセントを占めるという、かなり偏ったピッチングで相手打線を翻弄した。

「前田はこれまでにも、ピッチングスタイルを何度かマイナーチェンジさせています。完投が当たり前だった日本時代と考え方を変え、6回完全燃焼の全力投球型にしたり、堅いメジャーのマウンドを効果的に使うため、投球フォームのスタンスを狭めたり…。今季もスライダーに磨きをかけていましたが」(同前)

 ツインズ戦の解説を務めた元マリナーズスカウトのバーニー・プレスコフ氏は「何か新しいことをしなければならないのでは?」と、ツイートしていた。エース的存在となった前田にまたもや試練到来だ。

「新しい変化球を習得するか、持ち球の変化球の割合を変えないと、今季は厳しいでしょうね」(同前)

 前田は28日の登板後、「今はガマンのとき」と話していたが、それは、どんなふうに変わるべきなのか、思考の苦しみを口にしていたのかもしれない。

(スポーツライター・飯山満)

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