新型コロナ対策として支給される持続化給付金や家賃支援給付金は、事業内容によっては対象外となる業種もある。そのひとつがピンク産業だが、これに「法の下の平等に反する」と給付金の支給を求めて国を訴えたのが関西で出張型ピンク店を展開する運営会社だった。
4月15日、東京地裁で第1回口頭弁論が開かれたが、国側は「性サービス業は本質的に不健全。支給の対象外としたことは合理的な区別だ」と主張。「公衆道徳上有害な業務」とした判例も持ち出し、争う姿勢を見せている。
運営会社が経営する店は公安委員会に届出を行っており、正規の営業認可を受けている許可店。それだけに国側が不健全と断じたのは異例のことで、ピンク業界からは「矛盾している!」と反発の声が上がっている。しかし、国側にもそう主張せざるを得なかった事情があるという。ピンク産業に詳しいジャーナリストは次のように説明する。
「給付対象になっている水商売は〝接待を伴う〟という枕詞が付けられていますが、あくまで飲食店の扱い。ピンク産業とは業態もサービス内容も明らかに異なり、そこは明確な線引きを行っています。なによりピンク産業を給付対象にするのは、国民の同意を得にくい」
接待を伴う飲食店についてさえ「給付対象から外すべき」との声も上がっていただけに、もしピンク店に給付されれば国民からの猛反発は必至、ということだろう。
また、世論の圧力だけでなく、国側がピンク産業への給付を認められない理由はほかにもあるという。
「税金の問題です。ピンク店には過少申告や無申告のケースが目立ち、働いている艶嬢も確定申告している子は極めて少ないのが現状。今回の業者は訴訟を起こすくらいなので真面目に納税しているのでしょうが、業界全体でみればまだまだずさんなところが多い。不健全というのはサービス内容というより、むしろこうした体質を指しているのは」(前出・ジャーナリスト)
さて、司法の判断はいかに。
(T-Factory)
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