昨年大みそかの「第72回紅白歌合戦」が記録してしまった不名誉な視聴率が各方面に波及している。第2部の平均世帯視聴率34.3%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)が過去最低だった2019年を大きく下回ったことは、紅白を見なかった人たちにも「半沢直樹よりめっちゃ低いとかもう国民的番組じゃない」「ラグビーワールドカップより低いってヤバくない?」とショックを与えたとか。
「同じ2021年の放送でいえば、世間的にあまり盛り上がっていなかった印象がある東京五輪の、侍ジャパンの決勝戦が関東地区で37.0%でした。それよりも3ポイント近く低いわけですから、大みそかの国民的イベントとしては失敗と言わざるを得ません」(エンタメ誌ライター)
すると大コケ紅白を分析するメディアも続出。「テレビに興味のない世代をターゲットにした時点で失敗」「歌じゃなくて踊る人ばっかり集めてしまった」「ジャニーズも多すぎるし女子のグループアイドルも多すぎるし、お年寄りが見られる要素が少なすぎた」とNHKが設定したターゲットが間違いだったという声、さらには「組分けや対決廃止とか、ジェンダーを意識しすぎてステージが地味になりつまらなかった」「小林幸子と美川憲一が衣装対決してた頃が華やかでよかった」「大みそかに社会問題とか中途半端に入れ込まないでほしい」など、NHKの場違いな(?)意識の高さが視聴者離れを招いたといった類の意見が見られている。そしてNHKにとって最も痛い指摘が、
「『歌を大切にしてない』『歌の力を信じてない』という“歌”に対する意見です。紅白を見た人なら気づいていると思いますが、あきらかに口パクと思わせるアーティストがいましたし、NHKの視聴層である中高年が聞きたい歌手や高齢者がなじんできた演歌が激減しています。そのせいか、聞いたこともない歌がCDか生歌か分からないまま流される寄せ鍋のような番組になってしまった」(同)
そして後半には、歌の力を信じる紅白ファンにトドメを刺すようなシーンが…。
「企画枠で細川たかしさんが登場した時です。細川さんは『望郷じょんがら』でさすがの歌声を披露。これには視聴者も釘付けになったと思います。そして代表曲の『北酒場』へのメドレー。ところが、北酒場になると司会の大泉洋さんが北海道繋がりということと、ご本人の十八番ということで細川さんとデュエットする展開に。北海道の人には絶賛されたようですが、この演出に首を傾げた視聴者も多かったのではないでしょうか」(同)
司会ぶりでは高評価だった大泉。では、なぜ同郷デュエットが観る者をシラけさせたのか。
「単純な話です。NHKが細川さんほどの歌手でも大泉さんとデュエットさせないと視聴者にウケないと考えていたという失望です。SNSにも『オハコと言われても…。紅白で大泉洋のカラオケを聞かせてどうするの?』『紅白の一番の問題は歌の力よりタレントの力をNHKが信じてること』など、なるほどと頷くしかない辛らつな声がありました。大泉さんは盛り上げるための演出に乗ったわけですが、多くの人は細川さんだけで『北酒場』を聞きたかったということでしょう」(同)
さて、番組編成改革を進める前田晃伸会長は今回の紅白をどう評価するのだろうか。
(塚田ちひろ)