3月5日から大阪、兵庫、宮城の1府2県で「まん延防止等重点措置」が適用となり、対象地域の飲食店では20時までの時短営業が求められた。夜の街では店ごとに様々な対応がとられているが、年明けから続く時短等の営業制限に、飲食店事業者からは不満の声も多い。適用初週は様子を見ながら通常通りの営業をする店も少なくないようだ。
大阪市内で夜のクラブを経営する女性はこう話す。
「うちは遅い時間からの需要が高いので、時短なんてやってられませんからね。まだ緊急事態宣言中の協力金も振り込まれていないし、今回は従わずに20時以降も営業していますよ。ただ市内は見回り隊の監視が厳しいので、お客様には20時までに来店してもらってます。20時までに来店したお客様には、気の済むまでお酒の席を楽しんでもらって、お客様がはけたら営業終了です。ビルのシャッターは閉めて、“閉店したフリ作戦”で通すつもりです。少しでも売上をたてないと、この先、立ち行かなくなりますから」
およそ1カ月間続く「まん防」に従っている余裕はないと語る店主もいるが、時短営業にシフトしたクラブでは新たな需要が拡大しているという声もある。神戸市内に店を構える人気クラブのママは新規の客が増えたことを明かした。
「以前までは19時オープンでしたが、20時までの時短営業の要請に合わせて、開店時間を16時に早めました。仕事終わりに飲みに来るお客様は減ってしまったけれど、早い時間から店を開けることで65歳以上のシニア世代のご来店が多くなったんです。高齢のお客様からは、『夜飲みに行くって家族に言うと怒られるから行けないけど、夕方ならちょっと散歩に行ってくると口実をつくって外出できるんだ。時短バンザイだよ』なんて言われることもありました。夕方は今まで飲み屋を利用していなかったおじいちゃん達で店内が賑わっています」
夕方から営業しているクラブにはシニア世代が喜んで足を運んでいるところもあるようだ。重症化のリスクが高い高齢者が客層のメインとなったため、感染対策により力を入れているというが、今回の時短営業の要請は「まん延防止」の役割をはたすのだろうか…。
(浜野ふみ)
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