夜の街の接客クラブや艶系クラブでは、クラブ嬢がお店で出会った客から直接金銭を受け取る“裏引き”は御法度。あってはならない店への裏切り行為とされてきた。“裏引き”が発覚すれば、減給やクビなど重いペナルティを科されるのは当然であったが、コロナ禍においてはそんな裏切り行為を店側も黙認せざるを得ない状況にあるという。感染対策と経済活動の両立を政府は掲げているものの、「夜の街」ではいまだ冷え込みが続いているようだ。
「肌寒くなってきてコロナ感染への懸念が一層増しているのか、新規のお客様が一切入らない日もあります。出勤人数を調整しているので、給料面で折り合いがつかず、店を辞めていく子も多いです。客足が戻ってきたときに従業員が足りないという事態は避けたいので、なんとか交渉して繋ぎ止めていますが、女の子たちもみんな生活がありますから…」
こう言って、店の経営悪化と従業員離れを嘆くのは繁華街で艶系クラブを営むオーナーの男性。こうした給料面の不満から、クラブ嬢の裏切り行為が相次いでいると明かす。
「今までレギュラーで働いていた人気嬢が、週末だけのシフトに変わりました。彼女の売り上げを支えていた“太客”たちも店に顔を出すことはなくなり、うすうす“やってるな”と…。そう、裏引き行為ですね。もちろん店としては、お店に落とされるはずの売り上げがクラブ嬢に独り占めされることは許せないし、直接金銭のやり取りをすることでお客様とのトラブルに発展しないかも心配です。しかし今まで通りの給料が出せない状況が続いている今は目を瞑るしかないですね」(前出・接客クラブオーナー)
裏切り行為の頻発にクラブ側も泣き寝入りしかない現状にあるようだ。掟破りも良しとされてしまうコロナ禍のネオン街のしわ寄せは、真面目にホステス業に勤しむクラブ嬢に波及しているようで…。艶系クラブに勤務する女性はこう話す。
「裏引きも枕営業も、このご時世仕方ないのかもしれないけれど、夜の街全体のモラルが低下しすぎてます。同じ店のホステスの話を持ち出して『○○ちゃんは月10万の条件で会ってくれるよ』とか、『外で会ってくれる女の子もいるのに、どうして店に行かないといけないの?』って、お客さんが口々に言うんです。一人一人のやり方をとやかく言うつもりはないけれど、はっきり言って営業妨害です。ホステスとしてのプライドがない子が多すぎて、がっかりですよ」
歯止めが利かなくなっている裏切り行為の横行が、夜の街全体で負の連鎖を起こしているようだ。
(浜野ふみ)