緊急事態宣言で“おばけ”が消える!? 関西「夜の街」の一大イベントとは?

 コロナウイルス感染の急拡大を受け、大阪府と兵庫県、京都府の3府県では緊急事態宣言発出の要請を決定した。関東の1都3県と同様に、飲食店の酒類提供時間や営業時間の短縮要請を出す方針が発表されているが、関西の夜の街はどう対応するのだろうか。老舗クラブに勤める女性を取材した。

「緊急事態宣言が出たら要請に従って店を閉めますね。そもそもお客様の入りも見込めないし、うちは時給が良いから、ホステスを出勤させて給料を出すより全員に補償を出したほうが赤字は少なくて済むんです。ただ2月には“おばけ”があるから、その週だけはなんとしても営業したい。予約の受付も含め、営業時間を早めるなど調整してなんとか開催できないか検討しているところです」

 クラブ勤務の女性がなんとしても開催したいと語った“おばけ”とは、関西の夜の街特有のイベントで、2月3日の節分に芸者や舞妓のような派手な衣装で営業する一大行事。ハロウィンよりも気合を入れる店が多く、北新地や神戸三宮の街を着飾ったホステスたちが花魁道中さながらに練り歩く様は圧巻だ。

 関西のラウンジに勤務する別の女性は言う。

「毎年おばけの日は、店に和楽器の奏者を呼ぶなど、お客様に楽しんでもらう催しを開催していますが、今年は今のところ予定していません。お客様も私たちの芸者姿を楽しみにしてくれていて、例年かなり売り上げを立てられるイベントなので、開催できないのは痛いですね。お店の売り上げだけじゃなく、町全体を景気よく活気づけるような側面もあるので、芸者姿でお客様をお迎えに行けないのが残念です」

 昨年4月の緊急事態宣言発令時とは異なり、いささか“緩い”とも言われている今回の要請に、休業せず営業を続けるという夜の店もある。元をたどれば厄払いの行事とされてきた“おばけ”だが、このコロナ禍で開催すれば感染拡大の懸念がつきまとう。成人式をはじめ多くのイベントの中止が取りざたされる中、どれだけ大きな経済効果をもたらそうとも、夜の街でもイベント自粛はやむなしだろう。

(浜野ふみ)

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