佐々木朗希、先発登板で露呈した「ガラスのハート」と「フォームのズレ」

「弱点」が露呈してしまった。令和の怪物・佐々木朗希の一軍戦デビューはオールスター戦明けとなりそうだ。

 去る3月23日、千葉ロッテの佐々木がプロ2年目で初めての先発マウンドに臨んだ。2回2失点と振るわず、井口資仁監督も「100球は投げられないと(一軍に)上がれない。しっかりと体力作りを」と二軍降格を示唆。しかし、今後の課題は「体力不足」だけではないようだ。

「走者を出すなり、投球フォームがおかしくなったんです」(球界関係者)

 そもそも、同日の試合は21日のオープン戦最終試合が雨天中止となったため、千葉ロッテとDeNAが申し合わせて実現したもの。21日に登板させる予定だった投手に実戦テストや最終調整をさせるためで、佐々木も貴重なチャンスを与えられた一人だった。

「23日の登板に向けて、佐々木はいくつかの課題を首脳陣から与えられていました。前回の3月12日の登板では直球一本で勝負しましたが、この日は変化球もテストしています。あと、中10日という登板間隔ですが、調整がしっかりとできているのかどうか」(同前)

 井口監督の言う「体力面」はこの登板間隔のことを指していた。

 しかし、「ちょっと時間が掛かりそう」と周囲が心配するのは、投球フォームのズレ。佐々木は走者のいない場面でもセットポジションで投げてきた。だから、走者を出しても投球フォームには影響が出ないと思われたが、2イニング目、DeNA田中俊太に内野安打を許したあと、そのセットポジションの投球フォームに狂いが出始めた。

「一塁走者を見るため首を動かし、クイックモーションも使わなければなりません」(同前)

 投球フォームの狂いはその動作が加わったためと思われる。プロのピッチャーは「単独スチールされても」「1点くらい失っても」と、デンと構えているものだが、佐々木はちょっと神経質になってしまったようだ。

 左肩の開きが早くなり、そこから制球力も乱れ始めた。その後の四球押し出しや暴投(捕逸)はそのためだ。

 しかし、前向きに捉える声も少なくない。

「プロ入り当初、佐々木はクイックモーションがヘタクソでしたが、別人のように上手になっていました。走者を出しても動じないメンタルは、実戦を積み重ねていけば自ずと養われていくものです」(プロ野球解説者)

「怪物」と称されてきたが、繊細な一面もあるようだ。オールスター戦の予定されている7月16、17日までの間、ファームで3、4試合は登板させる予定だという。1年で苦手のクイックモーションも克服したのだから、一軍マウンドで実力を証明する日もそう遠くないだろう。

(スポーツライター・飯山満)

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