「テイクアウトを潰す気か!」小泉環境相の“スプーン有料化”に業界が猛反発

「コンビニでスプーンなどが有料化されれば、自分でスプーンを持ち歩く人が増えていく。こうしたことでライフスタイルを変化させていきたい」

 3月9日、政府は事業者にプラスチック製品の削減を義務づける「プラスチック資源循環促進法案」を閣議決定。この日、閣僚会見で小泉進次郎環境相が語ったのが冒頭の言葉だ。

 環境問題に詳しいジャーナリストが語る。

「この法案は、コンビニなどの小売店やレストラン、カフェなどの飲食店に対し、使い捨てのプラ製スプーンやフォーク、ストローなどを対象にして『有料で提供』『受け取らなかった客にポイントを還元』『代替素材への転換』のいずれかの対応をとるよう義務づけるもので、対策を講じない事業者に対しては、国が指導・命令し、違反した場合は50万円以下の罰金が科せられるというものです。人気凋落が囁かれる小泉環境相は、起死回生を狙った一手と考えているかもしれませんが、このコロナ禍ですからね。マイスプーンを持ち歩くのは、衛生面でもリスクが高すぎる。小泉環境相は『レジ袋有料化の発展版だ!』と怪気炎を上げているようですが、周りは『おいおい、他にやる事ないのかよ?』と、あきれ返っているというのが実状のようです」

 一連の報道を受け、9日には「プラスチック新法案」「スプーン有料化」「有料化検討」「小泉大臣」といったワードがトレンド入りするなど話題になったが、とはいえ、その多くがネガティブな反応で、

《間違いなく、スプーン必要な食べ物買うのやめるな!》《たぶん、コンビニでプリン買わなくなる》と、スプーンの有料化で購買意欲が削がれるといった消費者の声に加え、コロナ禍で窮地に立たされている飲食業界を危惧する意見も多い。

 SNSでは、《テイクアウトでなんとか生き延びている飲食店に『潰れろ』と言っているようなもの》《スプーン有料化になったら近所のカレー屋さん潰れるかも…》《お客にいちいちスプーンつけますか?って聞く手間を小泉進次郎は理解しているのだろうか》と、新法案が飲食店のテイクアウト営業に大打撃を与えるとの予想コメントであふれた。前出のジャーナリストが続ける。

「スプーンを有料化にすればマイスプーンを持ち歩くはず、というのが小泉氏の発想ですが、常識的に考えて、コンビニ弁当を食べるために、いちいちステンレス製スプーンを持ち歩く人はいないでしょう。客側からすれば、単にサービスの質が低下しただけということになる。有料化するならば、その分のコストを環境にやさしい生分解性プラスチック製品の技術開発にまわすべきとの声もあがっているようです」

 さらに、同9日の閣僚懇談会で、小泉氏は菅首相から新たに「気候変動担当」を兼務するよう指示され、本人も、「対外的にも気候変動を日本で担当するのは誰かということも明確になったのは非常に動きやすく、今回の総理の指示をありがたく思っています」とやる気満々。とはいえ、環境省関係者は「気候変動より言ってることが変動してるからね(笑)。国民にとってはありがた迷惑以外の何物でもないですよ」と吐き捨てる。

 地球の環境問題はもちろん大切だが、このご時世では、人にやさしい政策が求められているのかもしれない。

(灯倫太郎)

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