清酒の輸出額は右肩上がり、注目資格「唎酒師」で飲食店の売上アップに貢献

 コロナ禍にもかかわらず、海外で売れ行き好調な“JAPANブランド”のひとつが「日本酒」です。アメリカやアジアを中心に、輸出額は11年連続で過去最高を更新。日本酒造組合中央会によると、2020年の清酒の輸出額は約241億円に達し、11年連続で最高額を更新しているそうです。

 そこで今回ご紹介する資格が「唎酒師」。日本酒の原料、製造方法、歴史、テイスティング方法など、幅広い知識やスキルが身につきます。

 それでは例題を見てみましょう。

〈問1〉古代日本に酒が存在していたことを示している最古の書物(中国の思想書)は、【1】論衡、【2】山海経、【3】魏志倭人伝、【4】隋書東夷伝のうちどれ?

〈問2〉酒税法において「清酒」とは、アルコール分が( )度未満のものを指しますが、空欄に入る数字は【1】20、【2】21、【3】22、【4】25のうちどれ?

 実際の問題は記述式や択一式などで出題されます。例題の答えは〈問1〉が【1】、〈問2〉が【3】です。

 唎酒師になるためにはいくつかのルートがあり、通学やオンラインで講座を受講してから試験を受けるコースや、通信講座を受講し課題にパスすることで資格認定されるコースなどがあります。

 私は課題を郵送する通信プログラムで合格しました。全3回の課題を提出するのですが、テキストをしっかり読めば難易度はそこまで高くないとはいえ、かなりの量があるのでなかなか大変でした。第3回の課題では日本酒のサンプルが自宅に送られてきて、テイスティングとセールスプロモーションに関する実践的な課題が出されます。

 テイスティング課題では、課題用に用意されたいくつかの日本酒サンプルを飲んで、香りのタイプ・強弱や、味わいの特徴といった項目について評価していきます。

 在宅受験の場合は事前にミネラルウォーターを用意しておいたほうがいいでしょう。口直しで味の違いを確かめやすくするためと、酔い防止のためです。

 セールスプロモーションの課題では、春夏秋冬の各季節について、自分の立場(居酒屋スタッフ/レストラン店主など)やターゲット(年齢層や性別など)を設定した上で、テーマや日本酒タイプを決めてプロモーション企画を立案します。

 日本酒は大きく4つのタイプに分類され、香りの高い「薫酒」、軽快でなめらかな「爽酒」、コクのある「醇酒」、熟成された「熟酒」がありますが、「夏はすっきりした爽酒、冬は燗にすると旨味が増す醇酒をすすめる」など、季節に合った提案を考えるわけです。

 この唎酒師は日本酒のソムリエと言われるだけあって、飲食店や販売店などで働く方はぜひ挑戦してほしいところ。コロナ禍で飲食業界は厳しい冬の時代を迎えていますが、イチオシの料理に最適の日本酒を提案することで、売り上げアップに貢献できるはず。コロナの終息を願いつつ、春の訪れを日本酒で祝いたいものですね。

儲かる指数:68

鈴木秀明(すずきひであき)/81年生まれ。東京大学理学部、東京大学公共政策大学院を経て資格アドバイザーに。取得資格数は約700。

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