突然ですが、読者の皆さんは語学は得意ですか。複数の国の言語を話せる人もいれば、「カタコトの英語くらいは‥‥」「てんでさっぱり‥‥」という人など様々でしょう。
今回、ご紹介するのは「エスペラント学力検定」。エスペラント(語)とは、1880年代にポーランドの言語学者ルドヴィコ・ザメンホフが中心となって創案された人工言語。民族を問わない「中立公平」の国際共通語として広まり、20世紀初頭にはすでに日本に伝わっていたそうです。
それでは例題を見てみましょう。
〈問1〉「猫」をエスペラントで表現すると、【1】cat、【2】catt、【3】catto、【4】katoのうちどれ?
〈問2〉エスペラントで、名詞を複数形にする際に語尾につけるアルファベットは【1】s、【2】is、【3】j、【4】zのうちどれ?
検定のランクは4級から1級まであり、いずれも筆記テストと会話テストが行われます。例題の答えは〈問1〉が【4】、〈問2〉が【3】となっています。
冒頭で述べたように、語学の勉強に苦手意識を持っている方もいると思います。その点、エスペラントは世界で最も習得しやすい言語とされ、ハードルの低さが特徴と言えます。
フランス語やイタリア語などを勉強したことがある人なら、エスペラントの覚えやすさをより実感できるはず。これらの言語では一人称から三人称、さらに単数か複数かによって動詞が複雑に変化しますからね。
英語ですら「do」「go」などを過去形にすると、それぞれ「did」「went」と不規則に変化しますが、エスペラントの過去形は基本的に動詞の語尾に「is」を足せばOK。同様に未来形、仮定形、命令形などの動詞の変化も規則的です。また、名詞の語尾は必ず「o」になるのも特徴的で、複数形への変換は例題のように、語尾に「j」をつければいいわけです。
また、エスペラントには方言のような地域差はありませんし、他の言語と比べて発音も難しくありません。たとえば「1」を例に挙げると、英語だと「one」と書いて「ワン」と字面からは想像しにくい読み方をしますが、エスペラントでは「unu」と書いて「ウヌ」と読みます。このように、ほとんどがローマ字読みで通じるのも、国際共通語たるゆえん。
エスペラントを話せる人は100万人以上いると言われ、そのコミュニティは世界中に広がっています。中には、この言語の活用のとして、エスペラントを話す旅行者に自宅を無料で開放している方もいるそうです。いわば善意の民泊施設を利用して、世界中を旅することができるかも。
母国を持たないゆえ、エスペラント使用者(エスぺランティスト)の結びつきは強く、ビジネスパートナーとの出会いや、新規顧客の開拓につながる可能性もあります。
コロナ禍の終息を願いながら、新たな言語を身につけてはいかがでしょうか。
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鈴木秀明(すずきひであき)/81年生まれ。東京大学理学部、東京大学公共政策大学院を経て資格アドバイザーに。取得資格数は約700。