大阪の「ラーメン行列店」で食中毒!チャーシューに潜むヤバい菌の正体とは?

 6月19日大阪市健康局は、今月大阪市内の人気ラーメン店で食中毒が発生し、営業停止3日間の行政処分が下されたと発表した。6月2日〜16日の間に同店でラーメンを食べた客39人が、腹痛、下痢などの症状を訴えたという。詳しい原因については調査中とのこと。

 この報道を受け、常連客と思しきユーザーからは「いつも行列ができていて、その回転率の良さから古い食材を使っているとは思えない」「衛生面にも他のラーメン店以上によく気を遣われている印象が強かった」と、この食中毒事故を疑問視するツイートを寄せていた。たしかに、湯気がたちのぼるアツアツのラーメンで食中毒が発生するとは、なかなか想像しにくい。

 だが、ネット上では、食中毒の原因を、「おそらく豚に何らかの菌が付着していたのでは?」「多分チャーシューでしょうね」と推測する声が散見された。同店はチャーシューのドカ盛りを売りにしていた。

 実はラーメン店から食中毒が出たケースでは、その後の調査でチャーシューから菌が検出される場合が少なくない。そのあたりの事情について、飲食業界誌編集者に話を聞いた。

「症状から考えるとふたつの可能性が考えられます。ひとつは菌ではなくノロウイルスです。しかし、ノロウイルスは寒冷期に発生することが多いので、症状が似ており、夏期の発生が多いウェルシュ菌である可能性が高いかと思います。今年は例年より暑いですからね。もともとは動物の腸内などに生息していますが、このウェルシュ菌はチャーシューなどの煮込み料理において増殖する例が多いんです。ここ数年の間でも、新潟県上越市のラーメン店で11人、茨城県牛久市のラーメン店で26人、茨城県つくば市のラーメン店で3人の食中毒が出ていますが、全てチャーシューからウェルシュ菌が検出されています」

 耳慣れないウェルシュ菌という細菌。利用客側が避けるために注意できることはあるのだろうか。

「ウェルシュ菌は熱に強く、一度“芽胞”を作ってしまうと、いくら加熱しても死滅させることはほぼ不可能です。ただし、かなり増殖しないと食中毒の原因とはなりません。調理現場に求められる対処としては、保温庫などでのきちんとした保存、再加熱しての芽胞前の発芽細菌を殺菌、なるべく新鮮な状態で提供することですね。食中毒が出たお店がそうであったというわけではありませんが、調理場を見て、チャーシューを常温で大きな鍋の底に放置しているようなお店では、チャーシューの摂取を控えるのが懸命かと思われます」(前出・編集者)

 今や日本の国民食と言われるラーメンだけに、ぜひとも美味しく、そして安全にいただきたいものである。

(オフィスキング)

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