3月1日から大阪、京都、愛知、岐阜、兵庫、福岡の6府県で緊急事態宣言が解除され、東京、神奈川、千葉、埼玉の首都圏の1都3県は3月7日以降も再延長となるか、議論は大詰めを迎えているが、街に目を向ければ“気の緩み”という形で「宣言解除」が進みつつある。いずれにしても、次のステップが見えたことで永田町の周辺では、「マンボウが出るのか、出るとしたらいつになるのか」が焦点になっているのだとか。
「2月13日に『改正新型コロナウイルス特別措置法』が施行されましたが、これに盛り込まれた『まん延防止等重点措置』のことを官邸周辺ではマンボウと呼んでいるのです」(政治部記者)
マンボウと呼ばれる措置では、市町村単位で感染拡大を防ぐために業種を絞ってこれに重点的な対策を施すことになる。具体的には、政府が対象とした都道府県で、現地の実情を知る知事が地域と業種を絞り、営業時間の時短要請などを行う。従来の措置との一番の違いは、命令に違反したら行政罰として20万円以下の過料が科されることだ。いわば罰金だ。
「マンボウには『上りマンボウ』と『下りマンボウ』があって、緊急事態宣言が出されるステージ4から拡大が落ち着いてステージ3にステージが下がった段階で措置を講ずるのが『下りマンボウ』(4から3に下る時だから)で、感染拡大初期のステージ2から3に上がるのを防ぐために措置が取られるのを『上りマンボウ』(その逆だから)といいます」(前出・政治部記者)
だからちょうど今のような、緊急事態宣言が“全面解除”へと移行する際に、気を引き締める意味合いでマンボウが出現するかが政治の焦点になるというわけだ。例えば、宣言解除の出口のタイミングを探っていた段階で、特別措置法の適用の有無について、国会で議論が行われていた朝日新聞(2月5日付)はこう伝えている。
「政府内では、宣言解除後にまん延防止等重点措置へと移行する場合を、『下りマンボウ』と呼んで検討を進めていた」
だがマンボウはなかなか出現しないかもしれない。マンボウが出た場合、20万円の過料が発生する可能性があるので、いたずらに反発を招くだけで誰も得をしないからだ。だから法律は作ったものの、政府は実際の運用には慎重な姿勢を示しており、事実、今回の解除でも、6府県の飲食店への時短要請を9時まで延長しつつ、外出自粛の要請も継続するという「独自」の対策を行うという形を取っている。
水族館では人気者のマンボウだが、こちらのマンボウはあまり現れてほしくないものだ。
(猫間滋)