宮城県気仙沼市が先ごろ、新型コロナウイルス対策の「まん延防止等重点措置」について、「まん防」と略すことに慎重になってほしいとの要望書を報道各社に出した。
気仙沼市は魚の「マンボウ」と馴染みが深い。気仙沼近海で春から夏にかけ漁獲され、主に地元で消費されることから、刺身や肝和えなどマンボウ料理は観光客にも人気の名産で、東日本大震災で被災し再建された道の駅「大谷海岸」のトレードマークにもなっている。
そのため市は「まん防」の略について「人気のあるマンボウにとっても、再起を期す道の駅にとってもマイナスイメージとなりかねない」と文書で表明し、同市観光課課長も「神経質かもしれないが、マンボウとコロナが重なって連想されてしまうのは避けたい」とコメントしている。
「まん延防止等重点措置」は、2月13日に施行されたコロナ対策の改正特別措置法で新設。緊急事態宣言が出されていなくても地域を限定して集中的に対策を行うもので、感染拡大が続く大阪府、兵庫県、宮城県の3府県6市で4月5日から5月5日まで実施される。
「そのためニュースや情報番組でも、3月末あたりからメインMCやコメンテーターの間で『まん防』の言葉が飛び交い、吉村洋文大阪府知事なども会見で使用していましたが、ネット上ではその響きに《緊張感がない》《軽く聞こえる》といった声が上がっていました。これを受け4月に入ってからは、国会や会見などで略称を使わない政府高官らが続々と出始めていましたね」(テレビウオッチャー)
ただ、この「まん防」の使い方については、当初から視聴者からこんな声も出ていた。
「そもそもアクセントがおかしいという指摘です。『まん延防止等重点措置』の略であれば、通常でいけば『まん防』のアクセントは平板となる。報道番組や情報番組、政府関係者もほとんどが『ま』にアクセントを置いた“頭高”で発音し、完全に魚の『マンボウ』と同じでしたからね。言いやすさからでしょうが、これが混同を呼ぶと同時に、物議を醸した一つの原因だったのかもしれません」(夕刊紙記者)
ともあれ、略し方はともかく効果のある対策をお願いしたい。