近年では従来のプロレスファンだけでなく若い女性層も取り込んで再び盛り上がりを見せるプロレス。その魅力はいくつもあるが、総合格闘技ではけっして見られない試合中の場外乱闘は、レスラーたちの見せ場のひとつ。しかし、コロナ禍でプロレスの場外乱闘も以前とはかなり変わってきたという。
「今はリングサイドで戦うだけ。選手が客席に飛び込むことは絶対にありません。本当は選手も団体も会場を盛り上げるためにもやりたいと思っているのですが、試合会場を提供する施設側が許さないんです」
裏事情を明かしてくれたのはプロレスライター。現在は各団体とも興行を再開させているが、ソーシャルディスタンスを守るために客席の座席同士の間隔を離し、定員の半数以下の人数しか入れないようにしている。
それだけ配慮していても、試合会場でクラスターが発生すればプロレス団体だけでなく施設側にとっても責任問題になりかねない。観客と違って選手は試合中にマスクをするわけにもいかず、万が一感染している状態で客席に飛び込んで大暴れすればウイルスを会場内にバラまいてしまうことになる。そうした最悪の事態が起きることを恐れているのだ。
「そうしたリスクは選手も団体側から口酸っぱく言われているようです。なかには場外での派手なバトルをウリにする選手もいます。実際、『試合ができるだけありがたいけど、以前のように戦えないのは辛い』と本音を漏らすヒール選手もいました」(前出・ライター)
ちなみに2月3月に新日本プロレスが行った後楽園ホール大会では、解説席に座っていた同団体の人気レスラー、後藤洋央紀(41)が私服姿のまま試合後の場外乱闘に飛び入りで参加。以前ならよくある光景だが、新日本プロレスは厳重注意を行う異例の処分を下し、彼自身も処分発表後の2月8日にはTwitterで「コロナ禍の中、乱入しお客様を危険にさらしてしまったことをお詫び致します」と謝罪コメントを出している。
「もし観客を巻き込む形でバトルをすれば、どの団体も注意程度では済まされない。下手すれば選手は契約解除、団体も施設側から出入り禁止を食らう可能性もある。ただ、試合に出場してない選手の乱入は、観客が巻き添えを食らうわけではありませんが、ガイドラインでは出場選手以外の場外乱闘を禁止としています。どうやらこのあたりが線引きになっているようです」(前出・ライター)
レスラーが客席で大暴れする姿を見てみたい気もするが、それはもうしばらく先のことになりそうだ。