GWの海外旅行、日本人だけがまだ気付いていない「残念な事実」とは

 間近に迫ってきた2019年のゴールデンウイーク(GW)。今年は天皇陛下の譲位に伴って「公式に10連休」という超大型連休となっており、JTBではGW期間中の海外旅行人数を66万2000人と予測。初の海外旅行で期待に胸を膨らませている人も少なくないはずだ。

 その海外旅行といえば、気を付けたいのが様々なトラブル。とくに日本は世界でもまれに見る安全な国であり、フードコードの場所取りに財布を置いていく人すらいるというお国柄だ。そんな人たちに向けて喚起されている<海外で注意すべきこと>には、現実と反していることも少なくないという。100回以上の海外渡航歴を持つトラベルライターが指摘する。

「最近よく言われるのは、海外でマスクをしているのは日本人だけなので、スリや強盗に狙われる目印になるというもの。たしかに欧米人の間ではマスクをするのは伝染病に罹っている人とのイメージが強く、彼らがマスクをする姿は非常に稀ですが、アジア全体ではマスク姿で外出することは何ら珍しくなくなっています。なかには日本文化好きの若者がキャラクター入りのマスクをオシャレアイテムとして使っているケースもありますし、酷すぎる大気汚染への対策としてマスクをする姿は中国大陸を中心に今ではなんら珍しくありません。バイクが主たる交通手段であるベトナムやタイの地方部でも、ライダーがマスクをかけているのはごく当たり前のこと。もはや<マスク=日本人>という図式は成立しないのです」
 
 同様に日本人特有と思われがちな日傘も、日本女性と同様に美白好きのアジアでは広く見受けられるようになった。しかも日本人ほど「自分がどう見られているか」を気に掛けない他のアジア人は、欧米旅行中もマスクや日傘を使っていることが多く、もはや日本人を示す記号ではなくなっているのである。

 その一方で、「日本人と見られるとスリや強盗に遭いやすい」のは、今も昔も変わらないという。ただその理由が以前とは様変わりしているというのだ。トラベルライターが続ける。

「かつては世界中で“日本人は金持ち”というイメージが強く、日本人旅行者はターゲットになりがちでした。ところが日本経済の停滞と、中国を筆頭とするアジア諸国の経済発展により、いまや旅行者が海外滞在中に費やす金額で日本人は下のほうになっています。ただし羽振りがいいのは中国人やタイ人かもしれませんが、スリや強盗に遭いやすいのは相変わらず日本人だという残念な事実も。それは、日本人は被害に遭っても大騒ぎせず、泣き寝入りするからなのです。よく『ビックリして声が出せなかった』という被害者の話を聞きますが、これは日本人に特有の反応。そのため今でも海外の観光地では、日本人はカモ扱いされているのが現状です」

 海外では「沈黙は金」という日本の美徳は一切通用しない。無用な被害に遭わないよう、常に注意を怠らないようにしたいものだ。

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