円高の影響もあり、今年のゴールデンウイークは海外旅行をあきらめ、国内旅行に切り替えた人も多かった。特に若年層ほどこの傾向は強く、旅費の高さなど経済的な理由が要因となっている。
ところがその一方で、旅慣れた人は驚くほど安く海外旅行をしていたという。マイルやクーポン利用、事前予約など渡航費を安くする手段は数多いが、その秘密は「中国」にあった。
中国といってもなにも上海や北京に行こうというわけではない。中国を「経由」して欧州や西アジアなどに向かうのだ。例えば、羽田からギリシャの首都・アテネに旅行するとしよう。時期にもよるが、ルフトハンザドイツ航空の場合、約40万円、比較的安価なイタリアのITAエアウェイズを利用しても約25万円の渡航費がかかる。ところが中国国際航空で北京を経由して向かうと、なんと6万円から10万円ほどの価格になるのだ。
一体なぜなのか。旅行ジャーナリストが解説する。
「中国の航空会社は、乗客を集めるために国際線の乗り継ぎ便で積極的に安い運賃を設定する傾向があります。特に欧州便では、競合他社より価格を抑えることでシェアを拡大しようとしています。また中国政府も自国の航空ハブを強化するため優遇政策を行うことがあり、結果的に割安な運賃が提示されるというわけです」
ただし中国経由は乗り継ぎが長めになったり、深夜着、早朝発などのケースもあるため、体力的にきつい行程になることも。事前に空港や航空会社の評判などを確認したほうがいいだろう。
海外旅行初心者には少し難易度が高いが、旅慣れた人であれば選択肢の一つに加えてみるのもいいかもしれない。
(ケン高田)