「うなぎパイ」減産で気になる銘菓の苦境「ご法度の値下げ販売も焼け石に水」

 静岡の銘菓「うなぎパイ」の減産が報じられたのは1月14日。浜松市にある菓子メーカー春華堂は緊急事態宣言発令を受け、1月の「うなぎパイ」の生産量を下方修正したという。新型コロナウイルスの感染が再拡大したことにより、ご当地土産の銘菓を販売するメーカーは苦境に立たされている。

「うなぎパイは『GoToトラベル』などの効果もあって売上が8割ほどにまで回復していたため、製造元の春華堂は当初昨年の5割の生産を目指していたとのことですが、再び緊急事態宣言が発令され、県をまたぐ移動の自粛が強まることから、4割となる約300万個の生産に下方修正したといいます」(社会部記者)

 売上の減少が予想されているのはうなぎパイだけではない。基本的に「銘菓」とされる商品はその土地にある観光地、駅、空港など販売する場所が限られているため、観光客がいなくなれば当然商品は売れなくなってしまう。そのため、昨年の緊急事態宣言時には売上が10分の1にまで減少した商品も少なくないと言われている。

「ご当地銘菓といっても最近ではECサイトで通販をおこなっているところも少なくありませんが、やはり旅先で買うことに意味があるものなので、どこも通販での売上は伸びないのが実状だそうです。そこで、今までご当地でしか販売していなかったものを全国で販売するメーカーも増えています。東京土産『東京ばな奈』がコンビニで販売されるなど、全国の駅や百貨店で出張販売する銘菓も少なくありません。また、一部では銘菓のご法度とも言われる値下げ販売をするメーカーもありますが、焼け石に水だとか。しかも、全国販売や値下げは観光客が戻ってきた際に商品の売上に影響を及ぼす可能性もあるため、メーカーは非常に頭を悩ませているのです」(経済ジャーナリスト)

 苦しい状況は続きそうだ。

(小林洋三)

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