ビジネスクラスの味を家庭で…航空会社「機内食通販」が“即完売”の大盛況

 GoToトラベル中断や年明けの緊急事態宣言により、復調しつつあった状況から一転。欠航が増え、再び搭乗率が下がってしまった飛行機国内線。依然として苦しい経営を強いられる中、なんとか旅客事業以外で収益を出そうと航空会社も必死だ。

 そんな中、思わぬ大ヒット商品となっているのが機内食。ANAは昨年12月と今年1月、計3200セット(3万8400食分)を販売したところ、いずれもすぐに完売。合わせて販売された空港の国際線ラウンジなどで提供しているカレーのレトルトパックも、重量3キロの業務用サイズながら売れ行きは好調だ。

 同社は1月26日から新たに国際線エコノミークラス用メインディッシュ3種類を各4個ずつ、12個入りの詰め合わせセットを販売する。洋食、和食の2種類があり、価格は税込み9000円。注文が殺到したこれまで同様、今回も即完売となる可能性が高そうだ。

 一方、JALはこれまでに中部国際空港や千葉県成田市内のレストラン、同県多古町の道の駅で国際線の機内食を提供。さらに今年1月からはシンガポールのレストランでも期間限定販売を行っている。

 また、人気ラーメン店とのコラボメニューで、かつて国際線ビジネスクラスで出していた「九州じゃんがら 豚骨風らあめん」の10食セット(税込6480円)の販売を新たに開始。本来は機上でしか食べられない本格的なラーメンを家庭で味わえるとあって、こちらも人気を集めそうだ。

 こうした機内食の販売は、世界中の航空会社で実施。もともとコロナ禍で大量に在庫を抱えていたこともあって、フードロス対策の一環として行っていたが、海外でも日本同様に「航空会社への支援」の気持ちを込めて購入する人が多いという。

 こうした機内食の商品化について「莫大な赤字を埋めるには遠く及ばないが、暗いニュースが続く航空業界にとって数少ない明るい話題」と話すのは航空業界に詳しいジャーナリスト。

 ちなみにANAの通販サイトではファーストクラス用の食器も扱っており、今後は機内用寝具の販売も計画している。

 機内食や備品類が購入でき、自宅に居ながらフライト気分が味わえる。退屈な自粛生活もこれで少しは快適になるかもしれない。

(高島昌俊)

※写真は機内で提供された機内食

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