4強激突!「箱根駅伝」裏ガイド「青学4連覇を支えたコーチがライバル校に」

 正月の恒例イベント「箱根駅伝」。2021年も精鋭20校と関東学生連合が初春の箱根路を1月2日(往路)、3日(復路)で駆け抜ける。連覇を狙う青学、19年覇者の東海大、前哨戦の伊勢路を6年ぶりに制した駒澤大と激戦必至。今大会はコロナ禍で沿道での声援が自粛となるだけに、テレビ観戦が10倍楽しめる「裏観戦ガイド」をお届けする。

 正月に欠かせない「箱根駅伝」こと「東京箱根間往復大学駅伝競走」。毎年、悲喜こもごもの名ドラマが生まれ、97回目を迎える今回もまた、1月2日の往路と3日の復路で熱き戦いが展開される。ただしコロナ禍のため、主催する「関東学生陸上競技連盟」(関東学連)が12月1日、新型コロナウイルス感染防止対策として「テレビなどでの応援をお願いします」と、沿道観戦自粛のお願いを発表した。

 ならば21年はこたつの中で、おせちに熱燗で観戦だ!

3強対決ではなく4強対決

 まずはレース展望を、スポーツ紙記者が解説する。

「20年の覇者で連覇を狙う青学、19年の優勝校でチーム内1万メートルトップ3の名取燎太(4年)、主将の塩澤稀夕(4年)、西田壮志(4年)の3本柱が健在の東海大、そして11月に行われた前哨戦、第52回全日本大学駅伝対校選手権大会を制した駒澤大が優勝候補です」

 ただ、この3校にも不安材料はある。

 青学は前回大会の花の2区でルーキーながらもトップでタスキをつなげた岸本大紀(2年)、東海大は前回の7区で区間3位の松崎咲人(2年)と、チーム内1万メートルタイム5位の大型新人・喜早駿介(1年)、駒澤大にしても前回4区で4位だった小島海斗(4年)と、チーム内1万メートルタイム4位の赤津勇進(1年)が16人のメンバー登録から漏れた。

 元東洋大監督の佐藤尚氏の見立てはこうだ。

「ならば、現在の最強メンバーで臨める明治が台頭してもおかしくない。前回は総合6位ですが、往路(5位)のメンバー5人を含む10人中8人が残っています。11月の伊勢路(全日本)でも3位と調子が上がっている。私は3強ではなく、4強とみています」

 12月10日に行われた記者会見では、明治を含む4校の監督は皆、「総合優勝」を目標に掲げていた。

青学コーチが東海大に流出

 20年はコロナ禍で、どこも練習量が不足気味。

「多くの指揮官が選手の『自主性』をテーマにあげた1年でした。その中で青学の原晋監督は4月に静岡の加藤学園高校の勝亦祐一元監督を新コーチとして招き、新体制をスタート。13年に全国高校駅伝初出場に導き、青学4連覇に貢献した下田裕太を育てるなど、その手腕が注目されています」(スポーツライター)

 高校の指導者からの転身といえば、東海大の両角速監督や東洋大の酒井俊幸監督が有名。青学の新体制にも注目が集まるが、その裏で青学4連覇を裏方として支えてきた名物コーチが、ライバル校の東海大に移籍していたのだ─。

「表向きは任期満了ですが、OBやファンからは、多忙な原監督に代わり、鬼軍曹のように熱い檄を飛ばしていた姿を惜しむ声が聞かれました。コーチ自身も年俸や待遇面で不満を口にしていて、イベント出演後に主催者がタクシーを用意してくれていたにもかかわらず、原監督から『まだ電車が走っているから』と、一人で帰宅させられたこともあったそうです」(スポーツ紙記者)

 とはいえ、黄金期を築いた名将・原監督は、次の新しい改革を目指しているという。

「常々『箱根で勝った負けたではおもしろくない。世界で戦える選手を』という趣旨の話をしているように参謀タイプのヘッドコーチとして勝亦氏を招聘したのでは。元水泳選手の勝亦コーチは鈴木大地元スポーツ庁長官と親しく、『旧態依然とした組織運営から陸上文化へ』を目指す原監督のお目にかなったのでしょう」(スポーツライター)

 青学、東海大のOBやファンは、コーチ流出という意外な目線でライバル校対決を見守ることになる。

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