来る2021年、2年目のシーズンは飛躍の年となるかどうか…。
レッズの地元紙「シンシナティ・エンクワイアラー」が早くも21年シーズンのチーム展望を特集し、そのなかでも「頼りは外野陣の進歩」と称し、秋山翔吾(32)を大きく扱っていた。
「メジャー1年目の20年は、前半戦で苦しみましたが、終盤戦でようやくバットでもチームに貢献できるようになりました」(現地特派員)
来季、期待の外野手と位置づけられた理由は尻上がりに調子を上げてきたからではない。9月の月間打率3割1分7厘はチーム最高、1番打者として出塁率4割5分9厘も立派な数字だが、米メディアが着目したのは、前半戦のデータ。不振だった時期の数字のどこに“飛躍の根拠”を見つけたかというと、それは、対右投手の成績。不振に陥っていたときも、秋山は右ピッチャーに対しては3割7分1厘の出塁率をマークしていたのだ。前出の地元紙の記事には、
「チーム状況に左右はされるが、間違いなく、さらにプレー機会が増えるはずだ」
というベル監督のコメントも紹介されている。
2020年シーズン最後の25試合、秋山は4割5分3厘と高い出塁率を誇った。1番バッターとして重要な「塁に出る」ということにおいて、もっともその意識が高い選手だと米メディアは評価していた。
「打撃不振に陥っていた時期も、自身の役割を果たそうとしていました。1番バッターの役目をしっかり理解している選手として、秋山に期待が寄せられています」(前出・現地特派員)
渡米前の19−20年オフ、秋山は阪神・板山祐太郎(26)の願いを聞き入れ、自主トレへの帯同を容認した。その板山が関西系メディアに話した限りでは、20年シーズン中もオンラインで連絡を取り合い、板山が打撃指導を仰いでいたという。
後輩に教えることでみずからの打撃スタイルを思い出し、それが復調にきっかけになったのかもしれない。
「昨年オフ、レッズは例年以上に大掛かりな補強を続け、秋山には地元ファンも大きな期待を寄せていました。不振を極めた前半戦では厳しい野次も浴びせられていました。今回、来季に期待できる選手の一人として取り上げられたことで、秋山も野球に専念しやすい状況になったと思います」(米国人ライター)
後半戦の活躍でバッシングは消えた。来季は好スタートを切ってもらいたいものだ。
(スポーツライター・飯山満)