極度の不振に悩まされたレイズの筒香嘉智(32)が戦力外寸前の崖っぷちに立たされた一方で、来季へ希望の光が差し始めているのはレッズの秋山翔吾(32)。8月31日時点での打率が1割9分6厘とメジャーの壁に苦しめられたが、9月の月間打率は3割1分7厘と結果を残した。
「対左投手でベンチに引っ込むケースが多く、日本のように143試合フル出場して打撃のリズムを養うことができなかった。それでも、遠征先で早出特打ちをするなど日本流の練習方法を取り入れて、調子を上向かせていきました。8月31日のカブス戦で左腕キンタナから左中間を破るツーベースを打ったことをきっかけに打撃のコツをつかんだそうです」(外信部記者)
復調気配も束の間、翌9月1日にはエンゼルスの左打ち外野手グッドウィンがトレードで移籍してくることに‥‥。スポーツ紙デスクが解説する。
「トレードが発表された時には、居合わせた記者に『俺って信頼されてないんだな‥‥』とガクッとした表情で話していましたよ。来季もレギュラー争いからのスタートですが、9月に好成績を残したポテンシャルを首脳陣はかなり評価しています。家族もシンシナティの生活になじんでいて、家を買う計画まであるそう。家族が定住するためにも、レギュラー獲得は至上命題ですよ」
一方で防御率8点台の醜態で、ポストシーズンのメンバー入りすらかなわなかったブルージェイズの山口俊(33)はブルペンで一人、たそがれる時間を過ごしていたようだ。元メジャー駐日スカウトによれば、
「中継ぎ陣はブルペンで待機する時間が長く、投手同士で談笑するものですが、山口の場合は一切会話に参加しないそうです。移籍当初こそ韓国人投手の柳賢振(リュ・ヒョンジン)と同じアジア人として意気投合していましたが、結果を残せない山口とは対照的に、先発として活躍する柳との間には距離が生じてしまった。松ヤニやクリームのアドバイスをチームメイトに尋ねることができず、最後まで滑るボールに対応することができませんでした」
コロナの影響でブルージェイズの本拠地がトロントからマイナー傘下球団のあるニューヨーク州バッファローに移ったことも、山口の孤立を深める一因となった。
「トロントであれば日本人コミュニティーもあって、チーム内で疎外感を味わっても外に出てリフレッシュできた。ニューヨーク州でありながら国境近くのフロンティアで、日本人はおろか日本食レストランも少ないバッファローで過ごすことになるのは、本人としても想定外だったはずです。外食する機会が減ったおかげか、今シーズンは酒席のトラブルを伝え聞くこともありませんでしたけどね」(元メジャー駐日スカウト)
内気な性格は、酒の力を借りないと治すことはできないのだろうか。