コロナ禍で“カルト大増殖”の悪辣実態!札幌で目撃されたアレフの逆ナン勧誘

 全国を覆うコロナ第3波の渦中に紛れて今、カルト教団が信者を大増殖させている。手口は巧妙化し、人々の不安や恐怖の心理につけ込み、団体名を隠して近づき、気がつけば「洗脳」されて身ぐるみ剥がされてしまうという。日常に忍び寄る悪辣な実態をレポートする。

 目下、コロナ禍で、全国で最も被害が広がっているのが北海道。11月26・27日と連続して新規感染者数が250人を超えるなどで「GoToキャンペーン」からも除外され、その警戒レベルは全国でも最大級だ。そうした中、勢力を拡大し問題視されているのが、オウム真理教の後継団体「アレフ」である。公安関係者によれば、

「札幌のアレフは、全国でも屈指の道場があるばかりか、高齢化が進む団体の中で、新規の若い信者を年間20人程度獲得するなど、その活動ぶりが問題視されている。しかもその手口は、書店でスピリチュアルの書籍を立ち読みしている人を2人1組の勧誘チームが『逆ナン』して、ヨガや自己啓発のサークルと称して誘い出すんです。その場合、10回程度にわたり、アレフの名前を出さずに、人間関係を構築。そのうえで、洗脳状態にして信者にするんです。コロナ以降も緊急事態宣言などで外出がままならない時期も、SNSなどで積極的にリクルート活動をしており、コロナ第3波で不安な人の急所を突くような勧誘活動を活発化させないか、警戒を強めているところです」

 18年に教祖・麻原彰晃の死刑執行で、その活動が鎮静化しているように見える「オウム」だが、実際にはここ5年ほどは、活動に拍車がかかっている。95年の「地下鉄サリン事件」といった大量殺人事件を知らない若者世代を中心に、信者獲得のハードルを低くしているのが最近の特徴だという。カルト教団に詳しいジャーナリストの藤倉善郎氏が解説する。

「彼らは『地下鉄サリン事件』を含めた一連のオウム事件を政府の陰謀論だと語り、自分たちは関わっていないと主張して、これまでのオウムは被害者という立場を崩していないようです」

 オウムに限らず、90年代から2000年代のミレニアムにかけて、日本中を騒がせたカルト教団がここにきて、急速に息を吹き返しているのはなぜか。その契機となっているのが他ならぬ新型コロナウイルスだというから恐れ入るが、藤倉氏によれば、

「新型コロナウイルスの影響を受け、自宅で過ごす時間が増えましたよね。それに伴いネットを使用する時間も増えたと思うのですが、オウムに限らず、一部のカルト団体は、SNSを利用して巧みに勧誘しているんですよ」

「摂理」(正式名称:キリスト教福音宣教会)というカルト教団がある。名前を聞いてピンとくる読者も少なくないだろう。78年に韓国人教祖の鄭明析氏が創設した団体で、06年7月には「鄭氏に性的暴行を受けた」と告発した女性3人がサングラスをして登場。逃亡中だった鄭氏を「絶対に捕まえてほしい」と記者会見を開いたほどの「SEXカルト教団」だったのだ。

「結局、鄭氏は中国で逮捕され、韓国に引き渡された。10年の服役を終えて18年に出所。その後は、活動を活発化させています」

 しかも「摂理」の場合は完全に名前を隠し「サークル」や「ボランティア団体」を名乗って信者獲得をしているだけに、その対策に苦慮しているのが実態だという。藤倉氏が明かす。

「かつて摂理に入信した男性は『大学のサッカーサークルに入ったつもりだったのに、気づいたら宗教の勉強をしていた』と言ったんです。最初のサッカーサークルの活動から、徐々に聖書の話をされるなど、気づかぬうちにマインドコントロールされているんです。怪しいカルト教団ほど怪しく見せない巧妙な手口で勧誘する。まったく宗教に免疫がない若者だと、自分が勧誘されていることにも気づかない可能性があります」

 今や4月の新学期のみならず、SNSを通じて活動を活発化しているだけに、ネットサーフィンも気を引き締めるべきだろう。

ライフ