「料金が下がったという実感がわかない。何の意味もない」
菅政権の目玉政策「携帯料金値下げ」のミッションを担う武田良太総務大臣が、11月27日の閣議後の会見で大手携帯会社に苦言を呈した。KDDIとソフトバンクが示した携帯電話の格安新料金プランへの評価を一転させることとなった。
事のあらましはこうだ。
10月28日、前述の2社が共に格安サブブランドのUQモバイルとYモバイルの新料金プランを発表。おおよそ「月上限20ギガバイト、定額通話で4000円台」だったことで、政府が要求する「20ギガ、5000円以下」に沿ったものだったため、武田大臣は、「新しい選択肢が増えたことは評価できる」と、両社の姿勢に理解を示していた。
ところがそれから約1カ月、「料金が高い主力ブランドへの囲い込みが存在している」、「むしろ安い方から高い方に誘導している感じがある」と、一転して不快感を表明したのだ。
「確かに10月に発表したプランは、政府の要望に沿うものでした。ただ、サブブランドから主力ブランドへの乗り換えは手数料0なのに対し、メインからサブへのランク下げの移行では、SIMロック解除、契約手続き、契約事務手数料などが必要になって煩雑な上、料金も発生する。だからこれをもってして大臣は『囲い込み』と表現したわけです。一見、政府の要望に沿ったものに見えるが、実質は骨抜きというわけです」(経済ジャーナリスト)
だが実の事を言えば、そんなことはもともとわかりきった話だった。
10月に両社が新プランを発表した際、ネットユーザーの間では、「全然値下げになっていない」と非難ごうごうだったからだ。
「サブブランドであって本体じゃない」、「値下げっていうのは、同じものが安くなるという事」、「現状のプランでの値下げになっていないというのが、そもそもおかしなこと」
などと、メインの料金が値下げになっていないことに、「値下げ」の看板倒れとの書き込みが相次いでいた。さらには、新たなプランが加わっただけであることに、「かえってわかりにくい」と受け止める声もあった。
そんなネット民の声が届いたということもあるのかもしれない。いずれにせよ、「これでは国民は納得しませんよ」というご注進でもあったのだろう。大臣の態度が変わったのは事実。一般ユーザーとしてはその頑張りに期待したいものだ。
(猫間滋)