「都構想」の次は「行政一元化」へ!?「3度目のチャレンジ」に市民の嘆き節

「またか」。いや、「やはり」という声が大阪から聞こえている。

 11月1日に大阪市で「大阪都構想」の是非を問う2度目の住民投票が行われて、反対派が上回って否決されてから1週間も経たない11月6日に松井一郎・大阪市長の口から、府と市の行政の「一元化」案が持ち出され、11日には2月の議会で提案するとしたのだ。

 そこで「またか」という話になるのだが…。

「都構想は政令指定都市の大阪市をなくして権限を大阪府に委譲、24ある区を4つの特別行政区に統廃合するという案でしたが、反対にあって頓挫しました。そこで今度は大阪市を残したまま広域行政は府に一元化するというプランを持ち出したということです」(大阪市政関係者)

 これと同時に、24区を8つの「総合区」にやはり統廃合するというプランも上げられている。

「住民投票否決の最大の理由は『大阪市』をなくすことに市民が抵抗を感じたから。だから今度のプランではまず『市』は残してアレルギーは排除する。逆に賛成理由として多かった、現状は多すぎる24の区の統廃合を行う、という良いとこ取りの折衷案です。ただ本来の狙いは、都構想で批判された府による市の権限の吸い上げと、それをレーゾンデートルとしてきた大阪維新の会そのものの意味の継続ということでしょう」(前出・大阪市政関係者)

 そこで「またか」ではなく「やはり」というのは、実はこれはいつか見た光景であったからだ。都構想反対派だった住民が語る。

「また何か言い出すだろうとは思っていました。というのも、都構想が最初に否決されたにもかかわらず復活したのも、当時の橋下徹市長がいったんは『関西州』なるものを持ちだしたもののあまり話題にならなかったことから、わずか3カ月ほどで『2度目のチャレンジ』と言い出したからです」

 否決の翌日には維新の議員が「3度目のチャレンジ」とツイートして、住民投票の意味を否定するのかと話題にもなったが、それも予想できたことだった。というのも、都構想を錦の御旗として掲げておくことが大阪維新の求心力であったがために、それを失わないためには何か代わりのものを掲げておく必要があるからだ。だから亡霊は何度でも復活する。

 大阪では6日連続してコロナ感染者が200人超えで第3波が押し寄せているのは明白。11月に住民投票が行われることで、「このコロナ禍の中でも強行するのか」との批判の声も多かったが、感染者増の原因は、もしかしたら住民投票にあったのかもしれない。

(猫間滋)

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