菊池雄星(29)の来季のピッチングにも影響が出そうだ。
メジャーリーグの今季の新人王が発表された(11月9日/現地時間)。ア・リーグから選出されたのは、シアトルマリナーズのカイル・ルイス外野手(25)。マリナーズから新人王が選ばれたのは、2001年のイチロー以来だという。近年のマリナーズは若手育成を最重要事項としており、「プロスペクト」(有望な若手)の一人だったルイスの選出には球団も喜んでいたが、早くも新チーム作りの構想に綻びも見え始めた。
「ルイスは昨季途中にデビューし、球団史上3人目となるデビュー戦から2試合連続本塁打もマークしました。怪我がなければレギュラーに定着していた選手です」(特派記者)
若手育成はどの球団にとっても、重要な課題。それをあえて最優先事項に掲げているのは、補強もままならなくなってきたからだ。01年の地区優勝、03年のワイルドカードによるポストシーズン進出から20年近くが経過しようとしている。一般論として、米球団が優勝を急ぐ場合、有望な若手を放出して働き盛りの選手を補強するのだが、マリナーズには放出する有望な若手もいなくなってしまった。「中途半端な補強をするなら、若手をコツコツと育てて…」と路線変更したのだ。
ルイスの新人王選出は一縷の光ではあるが、こんな指摘もある。
「近年の弱点の一つとされるのが、一塁手を固定できなかったこと。その一塁に17年1位のエバン・ホワイトを予定していましたが、今季は打率1割7分6厘。同じく、正二塁手と期待していたシェド・ロング・ジュニアも打率1割7分1厘でした。外野手のルイスは計算通りでしたが、弱点である内野層の薄さは解消されていません」(米国人ライター)
ホワイト、ロング・ジュニアもプロスペクトのメンバーだ。また、菊池もそのメンバーだが、今季は9度の先発登板機会をもらいながら、2勝止まり(4敗)。ピッチングフォームを変えて臨んだ2年目の今季は首脳陣も大きな期待を寄せていたが、それに応えられなかった。
「昨季は36本も本塁打を食らいましたが、今季は3本。この数字をどう評価すればいいのか、賛否両論です。今季はゴロアウトの割合が増えたので、マリナーズは変化球を放る割合を増やすよう指示していますが…」(前出・米国人ライター)
菊池は球速へのこだわりが強い。160キロを出そうとはしていないが、「速球を投げる左腕」を目指しており、変化球は直球を活かすための意識を持って投げているという。
「ルイス以外のプロスペクト・メンバーが結果を出せなかっただけに、菊池のピッチングスタイルにもメスが入れられることになりそう」(前出・特派記者)
来季は3年契約の最終年。年俸は推定で約17億円と言われる高給取りだけに、結果を出せなければ、新天地を探すことになりそうだ。
(スポーツライター・飯山満)