会見の背景には「2020年の苦い経験」があった?
エンゼルス・大谷翔平の右肘靱帯損傷に関する“続報会見”が急きょ開かれた。敵地でのメッツ戦前のことであり(日本時間8月27日)、会見場にはペリー・ミナシアンGMしか現れないという異例の展開だった。
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ミナシアンGMから説明されたのは、8月3日のマリナーズ戦で大谷が右手中指を痙攣させ、緊急降板した後のやり取りだった。エンゼルスは検査を促したが、大谷側がそれを拒否したというのだ。
「なぜそんなことを公表するのかと、取材陣は首を傾げていました」(現地メディア)
公表する必要のないダッグアウト情報が明かされた理由だが、真っ先に浮かぶのが全米の野球ファンからの批判をかわすため。7月下旬から大谷は「異変」を訴えていた。足、腰、右手が痙攣する場面が続き、「この時点で検査をしていれば大事には至らなかったはず」と球団に対して疑問の声が上がっていたのだ。
「検査を拒否したのだから球団は悪くない、本人の責任とでも言いたかったんですかね? 同時に囁かれているのは、大谷が球団スタッフを庇ったとの見方です。自身のケガのことで球団がバッシングされているのを見ていられない、と」(米国人ライター)
大谷の優しさが本当だとしても、エンゼルス批判は止まらないだろう。というのも、エンゼルスのメディカルチームが批判されたのは今回が初めてではないからだ。
2020年シーズンだった。18年にトミー・ジョン手術を受けた投手がエンゼルスには6人もいて、そのうちの1人が大谷だった。通常、同手術を受けた投手は「約2年後に復活する」と言われている。しかし、戦力としてカムバックした投手はゼロ。同年の大谷も2試合にしか投げられなかった。以後、エンゼルスのメディカルチームは、能力を疑問視されることも少なくなかった。
大谷はチームスタッフ全員を信頼しているそうだ。しかし、エンゼルスがドタバタする度に「復活投手ゼロの2020年」が蒸し返されている。
(飯山満/スポーツライター)