プロの職人向けの作業着・安全靴などを取り扱い、全国に800店舗以上を展開、小売NO.1のシェアを誇るワークマンの新規事業が話題となっている。同社は10月16日に「#ワークマン女子」という看板を掲げた、作業服を扱わず、女性向けアウトドアウェアに特化した新業態店を横浜桜木町駅前の複合商業施設・コレットマーレに出店する。今後「#ワークマン女子」を10年間で400店舗新規出店する見込みであることも分かっており、最終的には1000店オープンという大きな事業展開を見据えているという。
現在、全国に220店以上展開している「WORKMAN Plus」では、通常のワークマンで取り扱っている作業用品に加え、機能性が高く安価なアウトドアウェアなどの売り場シェアを広げて営業している。そういった店舗では、もともとのメイン層である男性客に交じり、“あえてワークマンの商品の中から、ファッションに取り入れられるものを発掘する”ことが一部の女性の間でブームとなっており、同店の開店時には女性が来店客の過半数を占めているという。
「ワークマン女子」ブームが広がりを見せ、密を回避するため空前のアウトドアレジャーブームの最中において、新たな需要拡大路線はもはや成功が確約されているようにも思えるが、「#ワークマン女子」の発表に、当のワークマン女子たちからの声は肯定的なものばかりではない。
ネット上では《たくさんの作業着が並ぶ中から、女子でも着られそうなものを探すワクワク感がこれじゃ味わえない》《愛用者だけど、彼氏とワークマン行っておそろいのウェア探してキャンプ行く予定立てたりするのが楽しいんだよな。あえてメンズを着たいのが女心》《ワークマン好きだからこそ、一時のはやりで○○女子人気にあやかって大量出店は心配》といった懸念の声も寄せられている。
特にワークマン女子達からは店名である「#ワークマン女子」というネーミングについて不満があがっているようだ。
「ジェンダーレスが叫ばれる昨今では『○○女子』を企業が大きく打ち出すことに批判的な意見が多く集まり炎上するケースが少なくありません。『作業服=男性が着るもの』という固定観念が、ジェンダーレス志向によって『女性だって作業服をおしゃれに着こなしてもいい』という発想に転換しブームが発生したのに、あえて『ワークマン女子』と性を区別する表現は必要でしょうか? 女性でも入りやすい店舗出店の着想は素晴らしいですが、性別問わず誰もが利用できるマーケットを目指しているとしたら、ナンセンスなのかもしれません」(経済誌ライター)
店名に今風なハッシュタグを用いたことなども「流行に便乗しすぎて滑っている」と指摘されてしまうこととなったが、ワークマンの“滑らない靴”はマタニティシューズとして使えると主婦層から絶大な人気を誇っている。店名批判に負けず、これからも高性能で安価な商品を提供し続けてほしい。
(浜野ふみ)