「ワークマン」2000店舗へ大量出店!? 気になる3つの懸念材料とは?

 昨年12月26日、「日本経済新聞」が、ワークウェア大手のワークマンが2040年までに現在の2倍以上となる2000店を目標に大量出店に乗り出す構えであると報じた。アパレル不況といわれる中、確かにワークマンはコロナ禍でも売上を伸ばし好調を維持しているが、大量出店は危険とする声もある。

 ワークマングループは19年末に「ユニクロ」の店舗数を抜いたことで大きな話題となり、2020年3月期時点での店舗数は868。今後は毎年60店舗のペースで出店を続け、20年後の2040年には約2100店舗で業界最大規模のしまむらグループと肩を並べる予定だというが…。

「現在はイケイケなワークマンですが、大量出店は諸刃の剣となる可能性も十分にあると思います。その理由は3つ。まず1つは、EC化が遅れる点です。ウィズコロナの今、アパレル業界はECシフトを進め、あのユニクロでさえも実店舗を減らしネット通販に力を入れているのです。つまり、ワークマンの大量出店は時代に逆行しているとの見方もあり、店舗が増えれば増えるほどEC比率を高めることが出来なくなってしまう恐れがあるのです」(経済ジャーナリスト)

 2つ目の懸念は、ワークマンはほぼフランチャイズ店が占めていることだという。

「およそ96%がフランチャイズ店のため、同社はフランチャイズ店に商品を納品した時点で売上高として計算できるという側面もあります。そのため、本部の売上が好調といっても、実際にはそれらの店舗が在庫を抱えているケースも少なくありません。また、フランチャイズということで今後は経営者の高齢化も懸念材料のひとつに挙げられます。そこにきての大量出店で某ステーキチェーンのように自社競合が起こり、店にしわ寄せが発生するケースも考えられ、大量出店からの大量閉店というシナリオも十分にあり得るのです」(前出・経済ジャーナリスト)

 最後は、ワークマンがあくまで“アウトドアブーム”に支えられている点だ。

「ワークマンが若者たちに受け入れられた原因はアウトドアで使い勝手が良く価格が安いところにあるのは間違いないでしょう。今でもキャンプ場は賑わっていますが、その一方でブームが天井を叩き始めたという声もあり、今後は落ち着いていくのではないかという指摘もあります。そうなれば、当然のことながらワークマンの売上は減少していくと考えられ、大量出店が首を締めることになりかねないのです」(前出・経済ジャーナリスト)

 果たしてワークマンの大量出店は吉と出るか凶と出るか…。

(小林洋三)

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