「普通、普通、とよく言われてましたけど、じゃあ普通って何なの? 普通と言われることによって、自分は普通じゃないんだと感じてしまって、傷ついてしまう方もたくさんいらっしゃると思う」
近藤春菜が「スッキリ」(日本テレビ系)でこう苦言を呈したように、10月6日は朝から区議会議員の“問題発言”の話題で持ち切りとなった。
事の発端は9月25日に開かれた足立区議会。自民党・白石正輝議員が少子化問題に関連し、「こんなことありえませんが、日本人が全部L、全部Gとなってしまったら、次の世代をになう人が生まれない」「B(バイセクシュアル)とT(トランスジェンダー)は生まれつきだが、LとGについてだけは、もし足立区に完全に広がったら足立区民がいなくなってしまう。法律で守られている、ということだと足立区は滅んでしまう」と発言し、性の多様性を完全否定する差別的な発言であると世間から批判の声が集まっている。
白石議員の偏見による、LGBTを貶めるような発言は当初、セクシュアルマイノリティとされる当事者らがSNSなどで抗議の声を上げたことにより世間的に注目され、民放各局のニュース番組などでも発言の是非について問われだすこととなったのだが、現在はそれに関連して「普通の結婚」に対する価値観についてネット上で炎上騒動となっている。
白石議員は性の多様性は尊重するとしつつも、少子化が進む日本の教育現場において「普通の結婚をして普通に子供を産んで、普通に子供を育てることがいかに人間にとって大切なことであると、本当に素晴らしいこと、本当に楽しいことなんだ、そのことを教育の場で子供たちにしっかり教えないと」という持論を展開した。
この発言がメディアに取り上げられて以降、ネット上では「普通の結婚」に対する論争が過熱しており、《結婚したら子供を産むのが普通っていつの時代よ?》 《子供を産むことがすべてで正しいのか?それは選択肢の一つでそれぞれの生き方を尊重することこそ教育すべき》《結婚して家庭を持たないと一人前じゃないっていう価値観、呪いみたい》《女性は子供を産む機械じゃないし、価値観を押し付けないでいただきたい》と様々な意見が投稿されTwitterでは「普通の結婚」がトレンドワード入りを果たすほどに。
結婚や出産は選択肢の一つであることは間違いないが、その「普通の結婚」をしたくても、経済的な問題で、結婚や出産を諦めざるを得ないケースは多々ある。コロナ禍では、この傾向はより顕著となっていくことだろう。今回の炎上劇は、性的マジョリティとマイノリティだけでなく、世代間のギャップをも浮き彫りにしたようだ。
(浜野ふみ)