「六角家」破産の原因はコロナにあらず!? 人気店を追い込む“風評被害”の実態

 かつては“家系御三家”と呼ばれ、全国的な知名度を誇った横浜家系ラーメンの老舗「六角家」が、9月4日に横浜地裁より破産手続き開始決定を受けていたことがわかった。

 六角家は横浜家系ラーメンの元祖「吉村家」で修行し、吉村家の2号店である「本牧家」の店長を務めた神藤隆氏が独立して1988年に創業。94年にはラーメンブームを巻き起こした「新横浜ラーメン博物館」に開業と同時に出店しその名を轟かせると、全国各地に直営店を展開し、カップ麺が発売されるなど横浜家系ラーメンを全国区にした立役者だった。

 しかし、近年では直営店が次々と閉店。六角橋にある本店も近隣に吉村家の直系が出店するなど新興勢力に圧されて客数は減少。また、神藤氏が体調不良になったこともあって、2017年の10月末に閉店していた。

 ただ、姿を消す名店に惜しむ声が相次いでいるかと思いきや、ネット上では《何回か行ったが、確かに味は家系の王道で申し分なかった…。でも従業員の態度が横柄なのが気になった》《客に命令口調だし、この店は昔から接客の評判が良くなく自然と足が遠のいた》《ラーメンが美味ければ従業員の態度も許せるけど、閉店間際には味がすごい落ちていた気もする》など、味や接客サービスについて多くの苦言が寄せられていた。

「このタイミングだけにコロナ破産と思われそうですが、店舗自体はすでに閉店していますし、今回の破産とコロナはまったく関係ありません。以前は理不尽に高圧的な店主がいたり、私語厳禁やスープ完飲など必然性のない厳しいルールを客に課したりするラーメン店も数多くありましたが、そうした店は自然と淘汰されていきました。六角家もある意味、そういった風評の被害にさらされていたところもありましたから、看板だけでは商売が成り立たなかったということでしょう。今の“顧客ファースト”時代には合わなかったのかもしれません」(フードライター)

 なお、フリマアプリなどでチェックすると、「六角家」の名を冠したカップ麺や袋麺が多く出品されていた。なかには定価の3倍以上の値をつけるものもあったが、何も転売ヤーに儲けさせることはない。「六角家 戸塚店」などの姉妹店は今後も営業を続けるというので、機会があればぜひ訪れてもらいたい。

(小林洋三)

※写真はイメージです

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