「聞くのに早く、話すのに遅く」ビジネスマンが「聖書検定」を受ける意義

 聖書といえば、世界で最も売れたベストセラーですが、その内容までは詳しく知らないという人も多いのではないでしょうか。

 聖書は全部で66巻からなる分厚い書物で、それらを完全に読み解くのはさすがに難しいですよね。

 聖書の知識を深めるうえで活用していただきたいのが「聖書検定」。公式テキストでは、難しい聖書の内容がわかりやすく端的にまとめられているため、効率よく学ぶことができます。
 それでは例題を見てみましょう。

〈問1〉全66巻ある聖書のうち、2巻目に当たる書の題名は【1】創世記、【2】マタイによる福音書、【3】ヨハネの黙示録、【4】出エジプト記のうちどれ?

〈問2〉以下のことわざのうち聖書を由来とするものはどれ? 【1】三人寄れば文殊の知恵、【2】目から鱗が落ちる、【3】可愛い子には旅をさせよ、【4】取らぬ狸の皮算用

 実際の問題は選択式や記述式で出題されます。例題の答えは〈問1〉が【4】、〈問2〉が【2】となっています。

 検定のランクは5級から1級に分かれており、5級から2級までは郵送による筆記試験。1級のみ会場での受験となり、今年は47都道府県280カ所のテストセンターでオンライン試験が行われます。

 聖書を学ぶメリットのひとつは、芸術やエンタメ作品の背景をより深く理解するための教養が深まること。絵画、音楽、映画、漫画、アニメにおいて、聖書の内容をモチーフにした作品はたくさんあります。

 例えば、レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」は、キリストが「12使徒の中の1人が私を裏切る」と予言した時の情景を描いたものとされ、アニメ「ヱヴァンゲリオン」シリーズも聖書の影響を強く受けているのが見て取れます。

 また、留学やビジネス、観光などで海外に行く人は、聖書を読むことでその国の文化や商習慣の違いをより深く理解できるでしょう。

 その一例として、「聖書がわかればアメリカが読める」(鹿嶋春平太著、PHP研究所)という本にはこんなことが書かれています。

 日本のビジネスシーンではお酒の席が設けられることが多くあり、相手との距離を縮めるために多少はハメを外してみたくなるもの。しかし、聖書には「酒に酔ってはいけません。破滅に導かれるからです」(エペソ人への手紙、5章18節)とあるため、欧米ではお酒を飲むこと自体は禁じられていないものの、酔態をさらすのはNG。ビジネス絡みのパーティーでお酒がふるまわれることはあっても、ガブ飲みするような人はめったにいません。

 聖書の中で私が特に印象に残っているのが「聞くのに早く、話すのに遅く、また怒るのに遅いようにしなさい」(ヤコブの手紙、1章19節)という一節。人の話をちゃんと聞き、話す時はゆっくり丁寧に、怒りのままに行動することを慎むよう心がけています。

 自分を戒め、世界を知るために聖書を学んでみてはいかがでしょう。

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鈴木秀明(すずきひであき)/81年生まれ。東京大学理学部、東京大学公共政策大学院を経て資格アドバイザーに。取得資格数は約700。

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