ポスト安倍「院政計画」の“黒い野望”「石破だけは総理にしてはならない」

 総理を辞めて一議員に戻るが、次の政権は裏で支配し操りたい。だが、そこには決して公にはできない深刻な問題が立ちはだかっていた。まさかの「安倍再々登板説」まで渦巻く出来レースとヤラセにまみれた自民党総裁選の暗部とは……。

「党執行部に任せているので、私が申し上げることではない。誰が、についても申し上げることではない」

 電撃的に辞任を表明したあの緊急記者会見で、記者から「ポスト安倍」について問われた際、安倍晋三総理(65)はこう返答した。

 だが、2度目となる突然の辞任に追い込まれた原因たる持病の潰瘍性大腸炎を巡る病状説明にも、ポスト安倍レースには一切口出ししないとする態度表明にも、知られざる重大な「ウソ」と「野望」が隠されていた。

 安倍総理の動静に詳しい自民党の大物議員は、「ポスト安倍を選ぶ総裁選に秘められたキーワードは『安倍院政』と『石破潰し』だ」と指摘したうえで、総理官邸奥の院の舞台裏を次のようにブチまけるのだ。

「安倍総理にとって、石破茂元幹事長(63)は安倍批判を繰り返し、政権の足を引っ張り続けてきた許しがたい人物。実は今回の辞任表明にあたって、安倍総理は『石破だけは絶対に総理・総裁にしてはならない』との強い意思を周囲に示していた。この怨念は政権を支えてきた麻生太郎副総理兼財務相(79)も同じ。そこで現在の『菅義偉官房長官(71)を総理・総裁に』の流れが一気に形成されたんだよ」

 この過程でポスト安倍レースの本命候補から脱落したのが、安倍総理の「意中の人」と言われていた岸田文雄政調会長(63)。だが脱落の理由は、巷間言われる「存在感不足」や「指導力不足」だけではない。この大物議員が続けて明かす。

「ズバリ、安倍院政への野望だよ。安倍総理には、8年近くもの一強長期政権で築き上げてきた権力構造を崩壊させたくない、できれば次の政権もその次の政権もキングメーカーとしてコントロールしていきたい、との強い執着がある。岸田政調会長に総理・総裁の座を禅譲すれば、保守本流と言われた宏池会(岸田派)に金城湯池を崩されかねない。そう思い直して、意中の岸田を切ったわけだ」

 そこで、安倍政権を黙々と支え続けてきた忠実な大番頭にしてイエスマンであり、自分からは決して目立とうとしない菅官房長官に白羽の矢が立てられたのである。事実、この大物議員によれば、最近の安倍総理の周辺では、次のような驚くべき声まで上がっているというのだ。

「この際、安倍総理には我々が切望する3度目の総理登板へ向け、菅暫定政権のもとでしっかりと静養に励んでいただきたい」

 ところが、である。側近筋で再々登板説もささやかれる安倍院政計画に今、そのシナリオを根底から破綻させかねない壁、再々登板どころか政治家生命まで危うくしかねない壁が立ちはだかり始めているというのだ。

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