カリスマ飲食プロデューサーに「金銭トラブル」(2)焼き鳥店をチェーン展開

 X氏の経歴は華々しい。岐阜市内で開業した焼き鳥店「総本家備長扇屋」を創業10年で全国280店舗の一大チェーンに育て上げ、東京都民にはおなじみの炭火焼き居酒屋「日本橋 紅とん」も創業、チェーン展開させた。現在はそれらの経営権を売却し、勝手知ったる居酒屋からパンケーキのチェーン店までさまざまな業態の飲食店のコンサルティング、プロデュースをしており、業界でその名を知らぬ者はいない。

「『横丁』の内装工事などに関しては、大本の施設の運営会社である『みらい開発』ではなく、Aが所属する『組合』が用立てることになっていました。当然、わが社への報酬も『組合』から出ます。そしてAの最大の仕事は、組合の資金を捻出すること、つまり、出資者を見つけてくることでした。『Xさんの名前を出せば、5億ぐらいポンと出す会社のアテがある』というAの言葉と、『組合』にはそのXが取締役を務める『Y社』も加入していたこともあり、さすがに取りっぱぐれることはないだろう、と思っていたんです」(小林氏)

 しかし、思惑は打ち砕かれる。結論から言えば、A氏は1円たりとも集めることができなかったのだ。小林氏が続けて憤る。

「まず我が社と『組合』の間で、基本設計報酬800万円、実施設計報酬800万円で計1600万円の契約書を交わしました。これは段階的な契約で、昨年9月末日の段階でまず前者の800万円が支払われ、後者は400万円ずつの分割で後日振り込まれることになっていた。ところが、基本設計の800万円が期日になってもまったく振り込まれませんでした」

 小林氏がクレームを入れても色よい返事は返ってこなかった。そればかりか、A氏と小林氏の関係はここで決定的にこじれ、支払いのないまま、10月初旬から翌年2月まで直接的には一切連絡を交わせない事態にまで陥ったのだ。

「週刊アサヒ芸能」本誌は、現在はようやく小林氏との交渉テーブルに着いた渦中のA氏にも取材。結果、得られたA氏の証言はこうだ。

「小林氏は10月以降、支払いの請求も含め、私たちとまったく連絡を取らなくなった。自分としてはプロジェクトから降りたものとして認識していた」

 対する小林氏の言い分は、これと真っ向から対立。

「10月に入ってからも、Aは支払いの件も含め、『あらためてお話をさせていただく』という返答をしてきました。そのやり取りのあと、打ち合わせに参加する意思をこちらからも見せています。この打ち合わせは中止になったとかで出席していませんが、このやり取りのどこに『プロジェクトを降りる』という意思がありますか。『みらい開発』側の担当者から、我が社との精算を済ませるよう、Aに再三通達があったことも聞いています。それでも何の連絡もなかった。Aと『組合』に金がないのは知っています。会社としての判断で『ステイ』していましたが、常識的に考えて、向こうから連絡してくるのが筋ではないですか」

※カリスマ飲食プロデューサーに「金銭トラブル」(3)に続く

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