夏休みの旅行シーズンに合わせてドタバタでスタートした「GoToトラベルキャンペーン」だが、数字上の利用客は、400万人と伸び悩んでいる(8月26日現在)。だが、ここにきて感染者数の減少傾向が明らかになれば、ぜひ見逃したくないのが、交通各社が勧めるディスカウントキャンペーンだ。交通ジャーナリストによれば、
「JR東日本では8月20日から新幹線および一部の特急列車がインターネット予約で半額になる『お先にトクだ値スペシャル(乗車券つき)』がスタートしました。乗車日1カ月前から乗車20日前の午前1時40分までしか予約できないなど、いくつか制約がありますが、21年3月31日まで続く長期キャンペーンなので、JR東日本沿線の旅行ではうまく活用するとおトクになります」
鉄道会社の大盤ぶるまいに航空会社も負けてはいられない。ANA(全日空)では6月26日以降に購入した21年1月31日までのチケットの日程と行先を何度でも変更できる「あんしん変更キャンペーン」を実施している。(20年8月29日時点)
「21年2月1日以降のチケットは1回までしか変更ができない制約がありますが、最大355日先の便への変更が可能です。前もって予約した割安チケットはキャンセルができないものです。あまりに融通が利きすぎるので都内のチケットショップで普通運賃を半額にする株主優待券が相場のマイナス2000円で投げ売りされていましたよ」(経済評論家・佐藤治彦氏)
さらに、9月に入り「GoToキャンペーン」に東京発着が加われば、鬼に金棒。すぐにでも「遠くへ行きたい」とばかりに観光名所に出かけたいところだが、依然として観光客の受け入れに温度差があることも事実だ。この点も、旅行先選びでは考慮に入れたほうがいいだろう。
「特に東京からの旅行客を嫌がるケースは多い。先日、出張で金沢に行った時の話です。カウンターの寿司屋で食事をしていて店主と雑談を交わしながら北陸の海の幸を堪能していました。ただ、『東京から来た』というひと言で一変。会計まで言葉を交わすことなくよそよそしい態度になりました。反対に関東近辺は東京に寛容で、特に群馬、栃木、茨城の北関東は観光客ウェルカムなようです」(交通ジャーナリスト)
原則として、出発地から遠いほどその対応が悪くなる傾向にあり、「行ってはいけない観光地」化する。旅行業界や交通各社の“投げ売りキャンペーン”を念頭に、まずは「安近短」を狙うのが鉄則のようである。