元衆議院議員でタレントの金子恵美氏が、8月30日オンエアの「サンデージャポン」(TBS系)で放った強烈な一言がネット上で物議を醸している。新型コロナ感染によって、爆笑問題の田中裕二が欠席したことでも注目を集めたこの放送回。もっとも脚光を浴びたのは、相方の太田光でも、ピンチヒッターのずん飯尾でもなく、金子氏だったというから何とも皮肉な話だ。
この日、取り上げられたのは安倍晋三総理の「辞任会見」。タレントのラサール石井がツイッターに投稿した《記者会見はヌルく番記者と総理のお別れ会のよう》との一文を紹介したのだが、これに噛みついたのが金子氏だった。
「ラサールさんの発言ですけど、これはまったくもって政治家をやったことのないコメンテーターのコメントだと思いますね。一度でも選挙に出て、国家のために命を尽くそうという思いのあった人間であったなら、健康を理由に辞めることがどんなに辛くて、悔しいことなのか。どんなに悔しかったかなって私は本当に思うので、もし、選挙に出てですね、総理になってから言ってもらいたいと思います」
時折、声を震わせながら語った金子氏は、安倍総理について《大事な時に体を壊す癖がある危機管理能力のない人物》と批判した立憲民主党の石垣のり子参院議員についても、「議員というのは弱者に寄り添うべき存在ですよね? 難病と闘っている方々の思いとか誇りを踏みにじる許されない発言。議員としては論外だと思いますね」と一刀両断したのだった。
この石垣議員への批判はともかく、ラサール石井への“総理になってから言え発言”はネット上でも物議を醸し、《総理にならないと政治に意見しちゃいけないってこと? さすがに暴論だわ》《もしかしてまた自民党から立候補しようとしている? 公共の電波で言うことじゃない》《ラサール石井の発言は礼節に欠いていたからこのくらい言ってもいいのでは?》などと意見が真っ二つにわかれることとなった。放送を見た政治ジャーナリストが語る。
「番組では同じ自民党OBで“小泉チルドレン”の杉村太蔵さんも出演していましたが、杉村さんに対して辛口評論家ならぬ『薄口評論家さん』と揶揄するようなマウント発言が気になりました。もっとも番組上でも《薄口評論家》として紹介されていますが、金子さんの口からその言葉を聞くと、明らかに挑発しているように映りますね。というのも、2人とも同じ元国会議員ですが、議員バッジをつけるまでの経緯がまったく異なります。金子さんは新潟4区の小選挙区で2回の当選を果たし、とくに2014年の選挙ではわずか約3000票差という厳しい戦いとなりました。一方の杉村さんは議員としては金子さんの大先輩ですが、2005年の“郵政解散総選挙”で比例南関東ブロック35位という名簿順で繰り上げ当選。まさかの当選に本人も『早く料亭に行ってみたい』と大ハシャギしていたのが問題となりました。金子さんが『薄口評論家』と挑発した出来事には、やはり厳しい小選挙区を戦い抜いた金子元代議士と、“おこぼれ当選”とも揶揄された杉村さんとの“OB格差”を感じずにはいられませんでした。金子さんの口から『選挙に出てから言って』との発言が出た理由もなんとなく理解できます」
この「サンデージャポン」では金子氏の挑発に乗ったのか、杉村氏が“ポスト安倍”について、絶対にあり得ない人物に「石破茂さんです」と名指しで発言して、珍しく“激辛評論家”の片りんを覗かせたのだった。
いずれにしても、今回の「金子発言」はしばらく議論の的となりそうだ。
(倉田はじめ)