歌舞伎町ホストで横行する“病み営業”「店に行かなくても50万円の請求が…」

「髪の毛、ぜんぶ焼くわ」

 こんな脅し文句で18歳の女性客から現金を脅し取ったとして、歌舞伎町のホストクラブの従業員が逮捕されていたことが判明したのは8月13日のことだった。

「犯行の舞台となった店は歌舞伎町でも大型店の部類に入ります。恐喝で逮捕された男は、女性の客に対して、殴る蹴るなどの暴行をはたらき、さらに1本20万円もする超高額なミネラルウォーターを注文させ、およそ80万円の支払いを約束させる念書にサインまで強要していました。逮捕から数日後、コロナ対策のため、警察官が防護服やゴーグルを装着して店舗を家宅捜索した際は、その異様な光景がテレビでも取り上げられました」(社会部記者)

 水1本で20万円とはまさに“ボッタクリ”だが、このコロナ禍でなりふり構っていられないホストたちの営業実態が浮き彫りとなった形だ。

「逮捕されたのは昔からある“オラオラ営業”ですね。女性客とプライベートで仲良くなったうえで、DVまがいの暴力で心も体も束縛するんです。まあ、ホストのほうも上司から殴られたりと、やむにやまれぬ状況に追い込まれての営業スタイルなのですが…。店舗のミーティングでは、こうした“オラオラ営業”で売り掛けが払えなくなった女性をどこの性産業に売るのかも話し合われていましたが、このコロナ禍ではどこも引き受けてくれませんからね。窮地に追い込まれたホストクラブが今後はどんな手で売上を確保していくのか、事件が起きないことを祈るばかりです」(裏社会ジャーナリスト)

 そんななか、“オラオラ営業”に続く新たな営業スタイルの被害にあったという女性に話を聞くことができた。32歳のOLで、ホスト遊び歴は10年以上におよぶという。

「最近増えているのが“病み営業”ですね。担当ホストからメールがきて『コロナにかかってほしくないからお店にはこないで。迷惑かけたくない。だけど会いたい』と。まあ、私もさすがに歌舞伎町のホストクラブに行くのは気が引けたので、お店近くの居酒屋で2人きりで飲んだのですが…。『自分もお店には出勤したくない。だけどノルマをこなさなければいけないからボトルだけ入れて』って言われて、しかたなく伝票にサインしたんですね。5万円のシャンパンだったはずなのに、あとでゼロをひとつ多く書かれたんでしょうね。数日後に『あの50万円のボトルで助かったよ』なんてメールがきて驚きましたよ。支払いを拒否していると、『これから手首切って死ぬ』とか『コロナにかかる前に餓死しちゃう』とか“病みメール”がバンバン届くようになって仕方なく振り込みましたよ。『二度と連絡しないで』って。まわりで聞くと、こうやって『死ぬ』とか『生きていけない』とかって悲壮感あふれるメールで金をまきあげる手口が横行しているそうです。もうしばらくホストはコリゴリですね」

 コロナのクラスターが多数報告されているホストクラブ。ホストたちの生き残りをかけた“病み営業”には警戒が必要のようだ。

(平沼エコー)

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