いよいよ、米国もUFO調査に本腰を入れ始めたのか?はたまた、狙いは別にあるのか……。
米国防総省は8月14日、海軍省内に未確認飛行物体(UFO)などの目撃情報を調査するタスクフォース(作業部会)を新設したことを明らかにした。
同省によれば、このチームは海軍が中心となり、「安全保障への脅威となり得る未確認の空中現象への理解を深めること」を使命に、正体が確認できない特異現象を含め、空域へのいかなる侵入物に対して徹底調査する構えを見せた。
とはいえ、米防総省は、なぜこの時期にあえてこのようなチームを新設したのだろうか?
「そのカギを握るのが、今年4月の国防省による未確認飛行物体の映像公開なんです」と語るのは、米国防の内情に詳しい軍事ジャーナリストだ。同氏が言う。
「国防総省は4月、海軍が撮影した『謎の空中現象』として、UFOのような物体が記録された3種類の映像を公開。撮影されたのはいずれも30秒から1分余りのモノクロ映像で、1本は2004年11月、残りの2本は15年1月に撮影されたもの。それぞれの映像には形状が異なる物体が、高速で飛行したり、空中で回転したりする様子が収められ、『あれを見ろ!回転しているぞ!』と驚く、米軍パイロットの声も収録され、大きな話題を呼びました」
この映像は数年前に流出し、米ニューヨークタイムスが「謎のUFOプログラム」として報道していたが、当時、国防総省は、その存在を頑なに否定していた。いわば「禁断映像」だったわけだ。
「通常、未確認の飛行物体はその多くが、大気が作り出す幻や、未公表の軍事演習、衛星、またはパイロットの幻覚といったものが多く、つまり、その大半は未確認飛行物体とは呼べないものが多いんです。ところが、今回は映像公開にあたり、UFOかどうかは未確認としながらも、『謎の空中現象』があったことを認めている。そこに、米国防総省の狙いが見え隠れしているんです」(前出・軍事ジャーナリスト)
つまり、未確認ながら、国防総省がこれらの動画を公式に認めたということは、すなわち宇宙人の存在を公に認めた、ということなのか? だが、前出のジャーナリストが語るには、
「残念ながら、答えはNOです。なぜなら、同省は今回のタスクフォースについても、『正体が確認できない空中現象を含め、空域へのいかなる侵入も深刻に捉え調査を行う』とコメントしている通り、あくまで国防の観点からの実態解明を強調しています。つまり、米軍が実際に関心を寄せているのは、宇宙からの小さな緑色の侵略者などではなく、地球上の敵対者に関連する『未確認空中現象』だということ。特に、ロシアをはじめ、近年は中国との関係が一触即発の状態ということもあり、中国の無人機や飛行体によるスパイ活動を不安視していることは間違いない。ただ、公式にそれを表明すると、ロシアや中国をさらに刺激することにもなりかねない。そこで、『安全保障への脅威となり得る未確認飛行物体』という大義名分をつけ、タスクフォースを新設したという背景があるのではないでしょうか」
ちなみに、かつてUFOが頻繁に目撃された時期は、東西冷戦において米ソの敵対関係がもっとも激化した頃と重なるとも言われている。そして、冷戦集結により、不思議なことにUFO目撃情報がパッタリと消えたという。ところが、今、再び謎の飛行物体の目撃情報が相次ぎ、国防総省が調査チームを組織……、果たして、それが意味しているものとは……。
(灯倫太郎)