コロナで広がる“需要格差”、国産牛はなぜ輸入牛に勝てないのか

 7月30日に発表された貿易統計によれば、2020年1月〜6月までの食肉輸入量が104万トンとなり、統計がスタートして以来、最多の輸入量となったことが明らかとなった。

 食肉輸入量は調製品を除く牛、豚、鶏の合計を示したものだが、顕著に増加していたのは牛肉で、前年同期比7%増の17万2693トンとなった。

 コロナの感染拡大によって国産牛肉の需要は激減し、自民党農林部会から「お肉券」の導入が提案され話題になったことも記憶に新しいだろう。昨年も環太平洋連携協定(TPP)の影響で牛肉の輸入量が増えてはいたが、なぜ国産牛肉の需要が減る一方、輸入牛肉が支持されているのか。

「飲食店の営業自粛といったところも国産牛肉の需要減にも影響していると思いますが、コロナ禍に自宅で焼肉やバーベキューをしようという家庭が増え、その際に値段の安い輸入牛肉が選ばれたと結果と見られています。スーパーなどで販売される国産牛肉はブランド和牛なども多く、コロナの影響で価格が下落したとはいえ200gでウン千円するものも多いので、家計に不安を感じる人が多い中で輸入牛肉を支持する声が圧倒的に増えたのではないでしょうか」(経済ジャーナリスト)

 農林水産省が8月4日に発表した2020年1〜6月の農林水産物・食品の輸出額を見ると、牛肉の輸出額は23%減と大幅に落ち込んでおり、日本国内だけでなく、世界的に需要の落ち込みが大きくなっている模様。格差は今後もますます広がりそうな気配だ。

(小林洋三)

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