帰省シーズンを前に、政府肝いりの「GoToトラベル」がスタートした。しかし新型コロナの感染者増で煙たがられた東京都は直前になって「対象外」に。そんな中、二転三転した支援事業は抜け道だらけであることが判明。都民でもやりたい放題の「裏マニュアル」が存在したのだ。
「国民の皆様のご協力をいただきながら、慎重に経済活動を再開していく方針に変わりはない」
7月22日、直前までゴタゴタ続きで「見切り発車」と揶揄されながらも、政府の観光支援策「GoToトラベル」が始まり、安倍晋三総理(65)は期待を込めてこう語った。
新型コロナウイルスの感染拡大防止と経済再生を両輪に位置づける中、予算総額1兆7000億円規模を投入する「GoToキャンペーン事業」(以下GoTo)は、「GoToトラベル」「GoToイート」「GoToイベント」「GoTo商店街」の4種類が用意されている。その先陣を切ったのがトラベル事業だ。内容が二転三転しているだけでなく、わかりにくいともっぱらなだけに、簡単におさらいしておきたい。
そもそも「GoTo」は政府が国内旅行を支援するもので、
〇割引額は旅行代金の35%。宿泊旅行の場合、割引の上限は1人1泊あたり1万4000円、日帰り旅行の上限は6000円
〇利用回数に制限なし。各自治体が独自に実施するサービスとの併用も可
〇9月中をメドに、旅行代金の15%分のクーポンを発行(旅行先の観光施設や土産物店、飲食店などで使用できる)。上限は1人1泊あたり6000円、日帰りは1人3000円となる
つまり「代金35%引き+クーポン15%分=50%」で、合計半額の割引を受けられることになる。
旅行代金1人2万円の場合、割引額は7000円、クーポン3000円で、合計1万円の支援額となる。
同じように、旅行代金1人4万円では、割引額は1万4000円で、クーポンが6000円。いずれもこれが上限額なので、旅行代金が1人5万円になっても割引額、クーポン額はこれ以上にはならない仕組みだ。ちなみに現段階で、「全ての旅行業者やホテルが対象ではない」ということも頭に入れておく必要がある。
お得なキャンペーンであることは間違いないのだが、こと「東京」に関してはキャンペーン開始の6日前になって、都在住者が都外に出る旅行と、都内への旅行目的は割引対象から除外されたのは周知のとおり。ただ、曖昧な制度の抜け道を利用した「黒い手口」も見つかった。
旅行代理店関係者が声をひそめて明かす。
「飛行機で羽田空港に着いて、東京ディズニーランド(千葉県)に行くのは、目的地が東京ではないため割引の対象になりますが、東京タワー(東京都)を周遊するパック旅行は対象外になります。ただ、千葉県内に宿泊後、個人的に東京を観光すれば、宿泊に割引は適用されるのです」
観光庁も個人の行動を逐一チェックはできないということだろう。
2人以上の旅行者がいれば、都民だって旅行できるケースもある。
「ホテルを予約する時、都民以外の者が代表者になれば、都民も一緒に旅行に行けます。運転免許証などの提示を求められるケースもあるかもしれませんが、『持っていない』と言われたら、ホテル側はそれ以上詮索するのは難しい」(旅行代理店関係者)
さらには、トラベル事業は住民票に登録された住所が対象の判断基準になるので、シェアハウスの居住者などに代表される、住民票を東京に移していない場合は、東京在住者でも割引旅行ができるというのだ。