「いくら国会議員といえども、小菅に入ったらそれまでの常識はいっさい通用しません。累犯者ならともかく、未体験者はたいてい初日にプライドやら自尊心をズタズタにされますから。まずは必要最低限の衣類をのぞいて私物はすべて没収。そのうえで待っているのが“マッパ”での強制身体検査。衣服からアンダーウェアからすべて脱いで、全身の穴という穴までみっちりと調べられます。もちろん女性の被収容者には女性職員が対応にあたりますが、誰も“センセイ”なんて呼びません。名前ではなく、『×××番、脱ぎなさい』と命令口調で指示されることになります」
こう話すのは、かつて薬物犯罪で“小菅”こと東京拘置所に収監された経験を持つ女性Aさん。公職選挙法違反(買収)の罪で逮捕された衆議院議員・河井克行容疑者と妻の参議院議員・河井案里容疑者が東京拘置所へ移送されたのは6月18日のことだった。
現職国会議員の夫婦がそろって逮捕されるのは初のことだという。それだけに、気になるのは“塀の中”の2人の暮らしぶりだ。とくに女性である案里容疑者に関しては、厳しい拘置所暮らしと長時間に及ぶ取り調べに耐えられるのか、一部からは心配する声があがっているという。
「6月16日に発売された『週刊文春』に掲載されたインタビュー記事では、案里容疑者が『私、三月に自殺を図ったでしょ』と語っているように、メンタル面の弱さはたびたび指摘されていました。拘置所内では、自死などさせないよう、十分な監視体制が取られることが予想されます」(政治部記者)
そんな案里容疑者が、先述したような“マッパ検査”に耐えられるのか。Aさんはこう話す。
「マッパでの検査は不正品を持ち込んでいないかというだけでなく、身体のどこかに傷がないか、刺青が入っていないかという検査項目もあると聞きました。今振り返ってもかなり屈辱的ですね」
この証言を裏付けるかのように、「サラリーマン、刑務所に行く!」(三栄書房)の著書がある作家の影野臣直氏はこう解説する。
「私が元受刑者たちに聞いた話では、東京拘置所での身体検査はかなり高圧的だったようです。4、5人の容疑者が同じ部屋で肌着1枚の姿になって並ばせられ、刑務官立ち合いのもとで“マッパ”になるのですが、その際、『後ろを向いて排泄する穴を広げろ』と厳しい口調で指示されたとか。なお、そうした指示を出す拘置所の職員も、あまり間近で見たくないのか、1メートル半ほど離れたところから眺めているような印象だったそうです」
克行、案里の両容疑者はいずれも買収の容疑を否認しているようだが、「ばら撒いたとされる金額や人数からいって、歴史的犯罪と指摘する声も多い。裁判で実刑判決がくだされる可能性も否定できない」(政治部記者)との声もあり、いずれにしても長期の勾留は避けられそうにない。前出のAさんが言う。
「拘置所の楽しみといえば週に2回か3回ある入浴。女性の収容者が少ないせいか、プールくらいのサイズの浴槽はいつも貸し切り状態でした。あとは夏の暑さが心配ですね。空調設備もあるにはありますが、ただ熱い空気をかき回しているだけで、真夏になると35度くらいに感じられます。東京拘置所には冷房はありませんからね。私は夏の暑さで10キロはやせましたよ」
その過酷な拘置所暮らしは、かのカルロス・ゴーンが国外逃亡を決意するきっかけになったとまで言われている。夫妻そろってどんな供述をするのか、進展を見守りたい。
(編集部)