「地元の政治家や支援者に現金を渡す時は、『陣中見舞いですから』と、かなりへりくだった様子。それもトイレまで追いかけてきてポケットにねじこまれた支援者もいました。受け取りを拒否した人間に対しては『安倍さんがなんて思うか…』などと恫喝めいた口調でむりやり押し付けたこともあったそうです。全国の国民が『(特別給付金の)10万円が届かない』と困窮しているのに、渡した側はもちろん、受け取った側も広島の恥ですよ」
広島県議会関係者が明かすのは、公職選挙法違反容疑で逮捕された衆議院議員の河井克行容疑者の“ばらまき実態”だ。妻で参議院議員の案里容疑者と夫婦そろって逮捕され、6月30日にはそれぞれ300万円以上という夏のボーナスが支給されたことで、国内では怒りの声があがった。
「怒りの矛先は河井夫妻だけでなく、彼らから金を受け取った政治家や首長におよんでいます。その数は40人以上。60万円を受け取ったとされる安芸高田市の児玉浩市長は丸刈りで謝罪の意を示しましたが、結局は辞職を表明。合計150万円を受領した三原市の天満祥典市長、受領額20万円という安芸太田町の小坂真治町長がそれぞれ職を辞しています。首長が相次いで“ドミノ辞職”したことで、また選挙をしなければならず、その選挙には多額の税金が投入される見込みとあって、広島県民の怒りは収まりそうにありません」(地元紙記者)
報道によれば、河井夫妻が不正に渡した金の総額は1800万円にのぼるという。有力政治家には金をばらまく一方で、河井夫妻といえば、選挙期間中のパワハラ行為がたびたび目撃されていたという。
「いつもピリピリと気が立っているせいか、秘書や運動員につらく当たることも多かったですね。そのため、河井夫妻は秘書がコロコロ変わることで有名。事件発覚のきっかけになったのは、ウグイス嬢に規定以上の報酬を支払った“買収疑惑”でしたが、ウラを返せば法定外の報酬を払わなければ、運動員をつなぎとめておけないほど、“チーム河井”の雰囲気は最悪だったということでしょう」(前出・県議会関係者)
渦中の選挙において、河井克行容疑者の“パワハラ気質”を如実に示したのが、独特すぎる「稲妻ルール」だったという。政治部記者が明かす。
「選挙期間中、選挙カーに乗っている際、河井容疑者がふと『おい、稲妻!』と運転手に声をかける。それが合図で、運転手は車を停めて、他の運動員はいっせいにビラまきに走り、当人が演説を始めるという段取りだったそうです。どうやら河井容疑者には、支援してくれそうな人を一瞬で見抜く眼力があるそうで、演説ポイントを見つけると『稲妻!』と言って車を停車させていたと聞いています。そこで少しでもモタモタしようものなら、スタッフは容赦なく“カミナリ”を落とされたといいますから、ある意味、脅しとか恫喝のように受け取る運動員もいたのではないでしょうか。妻の案里容疑者も、スタッフからのLINEの返信が少しでも遅くなると急に不機嫌になることもあったようです」
地元・広島を発展させるどころか、大混乱に陥れた河井夫妻。前代未聞の買収事件の全容解明が待たれる。