HOOTERS(フーターズ)新宿西口店が2020年5月末をもって閉店していたことが明らかになった。すでに5月27日の段階でサイト上で告知されていたが、新型コロナウイルス感染拡大防止の為、同店は5月7日から臨時休業中であり、再開することなく閉店の運びとなった。全盛期は都内だけでなく、大阪、名古屋、福岡にも出店するなどの勢いをみせていたが、これで残るは赤坂と銀座の2店舗のみとなってしまった。新宿西口店の閉店を受け、ネット上では利用者の悲しみの声が多く上がった。《コロナで一番恐れていた事態。残り2店舗なんとか頑張ってくれ》《コロナが憎いけど、前から新宿店いつもガラガラだったし、残念だがあきらめるしかないか…》《コロナ終息させなきゃHOOTERSがなくなってしまう。日本撤退なんてことになったら泣く》と、コロナウイルス流行の経済的煽りを受けた末の“悲劇”という印象を持つ人が多いようだが、HOOTERSのここ数年の業績から察するに、今回のコロナ禍はあくまで理由のひとつにすぎなかったのかもしれない。
HOOTERSは1983年フロリダで誕生したアメリカンレストラン&スポーツバーで、チアリーダーのようなぴちぴちタンクトップと短パンを着用した従業員「HOOTERSガール」の元気なおもてなしが人気を呼び、現在28カ国で430店舗以上フランチャイズ展開している。日本では2010年、国内一号店を赤坂に出店後、数年で店舗数を10以上増やす方針も語られていたが、2019年3月には日本での運営を担っていた企業が倒産し、現在は別の企業が運営にあたっていた。
「昨年の運営会社倒産の裏には、本家アメリカとのフランチャイズ契約の際に交わされた“1年毎に新規出店”という、向こう見ずな店舗拡大戦略があったと言われています。また、歓楽街エリアでの出店にもかかわらず、採用面においては、周辺の飲食店の賃金相場を下回ることもあったようです。当時はネット上でも《一番の売りであるHOOTERSガールたちを満足に集められないでどうするんだ》《客はHOOTERSガールの笑顔に癒されに来るのに…》などと非難されたものです」(外食産業関係者)
無理な新規出店と顧客満足度の低下が前運営会社を経営破綻に追い込んだようだが、そもそもアメリカ式営業スタイルや根底にある文化が日本人利用客の需要にマッチしていないという意見もある。《他のお店では味わえない盛り上がりが堪能できるのは事実だけど、学生時代の「チアリーダー=学内カーストトップ」という、アメリカ版「高嶺の花」の認識がないからありがたみを感じないのかな。20代の頃は楽しかったけど、さすがに年を取ると入店するのが少し気恥ずかしくなった》《健康的な艶っぽさと言っても、あの制服を着て接客するって相当高い時給を払わないと人員確保難しいでしょ》と、アメリカ的コンセプトと日本の消費者意識には大きな乖離があるようだ。
日本にいながらアメリカ式レストランの醍醐味が味わえるHOOTERS。そのコンセプトは「HOOTERS makes you happy(すべての人を幸せに)」。残る2店舗、赤坂店と銀座店は6月3日から営業を再開するとのこと。コロナ禍で社会全体が暗く沈んだ今こそ、真価が問われそうだ。
(浜野ふみ)