「日本野球機構(NPB)は6月の開幕に向けて動いています。12球団代表者会議で何度も協議していますが、やはり、先に開幕した台湾や韓国を参考に、最初のうちは無観客で開催せざるを得ないでしょう。そこから観客を入れるまでにはかなり時間がかかりそうです」(スポーツ紙記者)
無観客ならば当然ファンは球場には入れず現地での応援もできない。日本のプロ野球の応援といえば応援団の音頭にあわせてメガホンを叩き応援歌を歌うというのが一般的だが、そうした音が聞こえないプロ野球中継は、昔からのファンには異様に映るだろう。
だが、それは日本に限ったことかもしれない。実はアメリカ大リーグではそうではなく、応援団や応援歌は存在せず、観客一人一人がプレイに静かに集中し素晴らしいと思ったプレイに歓声を上げ、拍手するといった応援スタイルだ。「日本にも応援がないのは寂しい」「味気ないと」の声が多く上がる一方で「野球を観戦する上で応援団は不必要だ。邪魔だ」とまで言い切るファンもいる。
「日本の騒がしい応援の中では野球を真に楽しむことはできません。投手が投げた球がミットに収まる音やバットにボールが当たる音、そういうものも野球の醍醐味なのです。実際野球の本場アメリカではそのような楽しみ方が一般的で、中継時にはミットの音やバットの音を敢えて大きく拾います。局によっては効果音を付け足すこともあるほどです」(野球ライター)
「日本の野球の応援は見ていて気恥ずかしくなります。応援歌にはダサいと思うものも多く、いい歳をした大人が笛や太鼓を鳴らして特攻服で騒いでいるのはとても見ていられません」(プロ野球ファン)
日本のプロ野球の鳴り物応援を耳障りに思っているファンは意外と多い。また、そうしたファンの熱狂はしばしば球場でトラブルの火種になっているという。
「今でこそプロ野球は暴力団排除に力を入れていますが、昔は応援団が暴力団と繋がっているという認識が当たり前でした。実際、球場で暴力事件を起こしたり球場職員を脅迫して逮捕されたり、ダフ屋とつるむ応援団があったほど。ほんの6年前にも中日ドラゴンズの私設応援団が、反社会的勢力との繋がりを問題視されていました」(プロ野球ライター)
反社会的勢力との関係を断ち切った現在でも応援団絡みのトラブルは発生している。
「応援団が先頭を切ってライバル球団を煽ることは日常茶飯事です。『地獄へ落ちろ』などといった言葉まで使われることもあります。昔ならその場のノリの野次合戦で済んだのかもしれないですが今はその動画がネットにアップロードされて炎上することもしばしばです」(前出・プロ野球ライター)
野球場でのトラブル発生件数は応援団が位置する外野席が格段に多い。やはり応援に熱が入りすぎてしまうとヒートアップしやすくなってしまうのだろう。
しかし、日本式の応援をプロ野球の醍醐味とするファンが大半であることは間違いない。これまでに数球団が「鳴り物応援禁止デー」を企画したが客入りは奮わず、普段より数千人規模で客入りが落ち込んだケースもあった。また、海外では見られない日本式の応援を目当てに、プロ野球観戦に来る外国人観光客も多い。
コロナ禍での開幕となり無観客での試合開催は避けられなくなった今、普段の騒然たる環境の中での観戦とは一味違う野球の楽しみ方を見つけることができるかもしれない。
(浜野ふみ)