【プロ野球】「引退後の第2の人生は在京より地方球団の方が有利」なのはナゼか

 プロスポーツの中では比較的選手寿命の長いプロ野球だが、それでも引退後の人生のほうがはるかに長い。

 現役時代にある程度の実績を残せれば、引退後にコーチに就任したり、球団スタッフとして雇用されたり、あるいはメディアの解説者や評論家に転身するパターンも少なくない。なかには解説と並行してタレント活動をする人もいるが、テレビ関係者からよく聞かれるのは「在京球団よりも地方球団出身者のほうが有利」という声だ。一体どういうことなのか?

「東京や大阪には芸能人が腐るほどいますし、巨人や阪神といった人気球団で活躍した元スター選手が多く、そこに割り込むのは至難の業。評論家の席も限られているため、スポーツニュースやスポーツ紙で出演機会を得るのも大変です。ただし、地方局であれば競争率がグッと下がるので仕事を取りやすいのは事実です」(地方局ディレクター)

 例えば、元広島の前田智徳氏は、現役時代は寡黙なイメージだったが引退後は饒舌では笑顔を絶やさない完全な別キャラに変貌。本業は野球解説者だが、ユーチューブや地元・広島のローカル情報番組などにも出演。“スイーツおじさん”という新たな一面も見せている。

 また、大リーグのマリナーズでも活躍した城島健司氏は古巣ソフトバンクのシニアコーディネターを務めながら、地元九州にレギュラー番組「城島健司のJ的な釣りテレビ」(RKB毎日放送)を持ち、11年も続いている。九州では完全に「釣りタレント」扱いだ。

 90年代に日本ハムのエースを務めた岩本勉氏も、ひょうきんなキャラを生かし、北海道内で複数のテレビ・ラジオのレギュラー番組を抱える売れっ子だ。

「地方局は番組の予算も限られるため、元プロ野球選手でもスポーツコーナーのほかにタレント的な立ち回りが求められたりしますが、意外と喋りが達者だったりサービス心が旺盛なOBが多い。スポーツとは関係ない番組でも、ゲスト候補として企画会議に名前が挙がる人も多いですね」(同)

 引退後、フランチャイズの地に残ってローカルタレントとして活動する背景には、そうした事情もある。案外、選手としての知名度を生かした堅実なセカンドキャリアなのかも。

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