知らないと借金まみれ!! 被害急増「給料ファクタリング」の正体は闇金業者だ

 新型コロナウイルスの影響による休業や解雇から、「給料ファクタリング」を利用し、多重債務を抱える被害が急増している。

 給料ファクタリングとは、サラリーマンなどが給料日に受け取る予定の給料を、業者が前もって債権として買い取り、現金を融通するもので、ここ数年、ネットやSNSで目に付く「即日給料を現金化」、「給料債権の買い取りなので利息もありません」といった広告がそれにあたる。

 都内に住む派遣社員のAさん(30)が不足した生活費を補うつもりで“業者”に申し込みをしたのは今年1月のこと。

「最初は軽い気持ちで、書き込みにあったLINEのIDにメッセージを送ったんです。するとすぐに先方から『ご融資可能か審査させていただきます』という返信がきました。で、指示通り、名前や住所、勤務先と運転免許証、給与明細、銀行通帳などをスマホで撮影し、LINEで返信するように言われたんです」

 審査は30分ほどで完了し、すぐにAさんの口座に18万円が振り込まれていた。

「申し込んだのは20万円ですが、振り込まれたのは“手数料”2万円を差し引いた現金18万円。で、半月後、給料が出た後、業者に20万円を支払いました。あとで考えると、手数料名目の2万円は実質的には利息で、年利換算すると240%という高利なんですが、やはり背に腹は変えられなかった。で、結局2月、3月と同様の申し込みをしてしまったんです」
 ところが、コロナ騒動が起こり、派遣の仕事が激減。

「前借りした金が返せなくなり、今は5つの業者と同時にやりとりするようになってしまって……。こうなったら自己破産しかないかもしれません」

 Aさんはそう言って肩を落とす。本来、ファクタリングとは、中小企業などが取引先への売掛債権をファクタリング業者へ売却して、当座の資金を調達する方法で、適正に行われている場合は合法でもちろん問題はない。

「ただ、ファクタリングは貸金ではないので、貸金業の登録(貸金業法)が不要。そのうえ出資法の上限金利20%の規制も受けていないんです。つまり、こういったグレーゾーンを利用して、闇金融業者がファクタリングを装って、高利の貸金を行っているということ。それが給料ファクタリングの正体なんです」(悪徳商法に詳しいジャーナリスト)

 金融庁はホームページで、ファクタリングを装って高利の貸金を行う闇金融業者に気をつけるように注意喚起しているが、

「SNSやネット上の広告には『金利なし』『ブラックリスト入りの方でも大丈夫』などとの文言もあり、”審査”とは名ばかりで、クレジットカードや銀行系カードローン、消費者金融などで借り入れ出来なくなった人でも簡単に借りられるようになっています。でも、実際は年利換算で数百%の手数料を取る業者も横行し、複数の業者と契約を結び多重債務に陥っている利用者も少なくない。給料ファクタリングは”闇金の再来”ということを忘れてはならないということです」(前出・ジャーナリスト)

 1人10万円の特別定額給付金も遅れ気味な中、暗躍する業者の数も急増していると言われるが、くれぐれも、おいしい話には裏があるということを忘れないように!

(灯倫太郎)

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