JRA「コロナ万馬券」続発!「臆病な3歳」「人見知りの牝」が大激走する

「もうかれこれ20年以上競馬をやっていますが、こんな日は初めて。やはり新型コロナウィルスのせいなのか…。でも馬に感染するなんて聞いたことないし、まったく理解に苦しみます」

 ある競馬ファンがこう漏らすのは、4月25日に起きた歴史的珍事だ。

 なんとこの日だけで5頭が“単勝万馬券”を提供する大激走を見せ、競馬ファンをおおいに驚かせることとなったのだ。

 当日は、東京、京都、福島の3競馬場で各場12レースが行われたが、15番人気のラセット(牡5、庄野)が猛烈な差し脚を見せて約2年ぶりの勝利を挙げた京都メインの「彦根ステークス」をはじめ、単勝100倍を超える人気薄の勝利が相次ぎ、東京3R、京都1、5、6、11Rの計5レースで“単勝万馬券”の大穴が実現。

 これまでの記録としては1日3本(複数あり)が最高だったが、これを一気に2本も更新した。

 また、1着から3着までの馬を順番通りに当てる3連単馬券の7桁配当(=100万円以上)も続出し、東京3.8R、京都11R、福島2R、11Rの5本が飛び出してこれも従来の一日4本を上回る新記録となった。

 現在中央競馬は春のGⅠシーズンの真っ只中だが、今年は新型コロナウィルスの感染拡大の影響で無観客での開催が続いている。

 そうした中、この日は前代未聞の万馬券ラッシュとなったが、業界キャリア30年の専門誌記者は独自の見解を示す。

「おそらく無観客の影響はあるかと思われます。というのも、競走馬の中には実力があっても大勢の観衆の声援にプレッシャーを感じて、本来の実力を発揮できないケースがあるのは事実。無観客というレース環境で、人気薄の馬が真価を発揮したという見方もできるでしょう。京都では、1日に4度の単勝万馬券が出ましたが、そのうち3レースは3歳馬競走。しかも1Rのヴィネット(単勝配当:11040円)、5Rのリノキアナ(単勝配当:14100円)はいずれも牝馬でした。このことから、人見知りのする臆病な牝という共通点が見出せるかもしれません。3歳というのは人間にたとえるなら高校生ですからね。人前で走ることにまだためらいを覚える微妙な年ごろなんですよ(笑)」

 3歳馬競走で、これまで結果を出せなかった人気薄の「牝馬」を狙えば、「コロナ万馬券」の恩恵に与れる!? 

 とはいえ、競馬はそう単純ではないようで……。

「競馬のオッズ、人気というのはトラックマンがつけた印によって大きく左右されますからね。このコロナ禍で取材も何かと制約があり、さまざまな精神的負担から馬の状況を見誤ってしまうことも考えられます。単純に無観客が原因と決めつけるのは早計かもしれません」(前出・専門誌記者)

 そして再びの大荒れが予想された翌26日。この日も東京、京都、福島の各競馬場で計36レースが行われたが“単勝万馬券”が炸裂することはなかった。これは嵐の前の静けさか、それとも……。いずれにしても今週末の「オークストライアル」が楽しみだ。

(渡辺俊哉)

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