ロナウドorメッシ? 王様ペレが「二枚舌」で「世界最高選手」を語る狙いとは?

 元ブラジル代表のストライカーで、“サッカーの王様“と称されるペレ氏がイタリアのスポーツ紙「Gazzetta dello Sport」の取材に応じ、改めてアルゼンチン代表FWリオネル・メッシを“世界最高選手“として指名している。

 ユヴェントスに所属するポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドと、バルセロナ所属のFWメッシ。当代きっての名手として挙げられることの多いこの2人をめぐっては、「どちらがより優れた選手か?」との議論が長く交わされてきたが、ペレ氏は最新のインタビューでメッシこそNo.1だと断言。

「もしも(現役時代の)私とメッシが同じチームでプレーしたとすれば、対戦相手にとっては悩みの種だろう。どちらか1人ではなく、2人とも激しくマークしなければならないからね」とユーモアを交えながら言及し、「今のサッカー界で最もパーフェクトなプレーヤーは間違いなくメッシだ」と語った。

しかし、「メッシか? ロナウドか?」とのお馴染みの論争について、ペレ氏は3月末にも母国のスポーツメディア「Pilhado」からの取材の中で言及しており、その際には「現時点でロナウドが世界最高だよ。もちろんメッシも素晴らしい選手だが、決して多くの得点を決められる選手じゃない。最も安定してゴールを奪うことができるロナウドこそ最強さ」とコメント。コロナ禍によりサッカー界の活動も停止されている中、わずか1カ月でなぜか世界最高選手の答えが入れ替わるという“二枚舌“なスタンスには多くの批判も届いている。

「ペレ氏はこれまでにも5回ほど、このサッカー界における究極の題目である“ロナウドorメッシ“について語り、そのたびに異なる選手を世界最高として指名。その背景にある狙いは、1人の究極的に突出したプレーヤーを作り上げることを避け、最終的には現役時代の自分自身こそが時代を問わない“史上最高の選手“であるとアピールしたいのではないかと勘繰られています。実際、過去にペレ氏はライバルとして語られることの多い元アルゼンチン代表のディエゴ・マラドーナ氏や、オランダのヨハン・クライフ氏、ドイツのフランツ・ベッケンバウアー氏ら歴代の名手を差し置き、自身が『どのレジェンドよりも優れており、今後も私が頂点に立ち続けるだろう』と豪語。ロナウドとメッシの比較論において、言及するたびに回答を変えているのも、2人に対する当てつけだとも考えられますね」(スポーツライター)

 もちろん、わずか15歳でプロデビューを果たし、1200以上のゴールを量産してきたペレ氏の“異次元ぶり“には文句のつけどころがなく、3度のW杯で優勝を飾った偉業はロナウドやメッシ、マラドーナでさえ到達できていない領域である。だからこそ、高みの見物で彼らをフェアに比較して論じてほしいところだが、プレーヤーとして一流だったペレ氏の批評家としての偏った姿勢には、これまでも懐疑の目が向けられ続けてきた。

「20世紀最高のフットボーラー」が、21世紀のサッカー界を彩る現役プレーヤーに嫉妬のような感情を抱くのも理解できるが、あまりに露骨な二枚舌であってはその発言の信頼性も損ないかねないだろうか…?

(木村慎吾)

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